金融庁・中小の事業継続支援:劣後ローン(DDS)で最劣後へ転換!検査指針見直し
金融機関:貸倒引当金必要なく新たな融資も可能なDDS
金融庁は、震災や円高によって資金繰りが悪化した中小企業を支援するため、金融機関に対して融資の継続を促すよう近く検査指針の見直して、中小企業への貸出金を、資本性の高い劣後ローンに転換できる条件を整えるとしています。劣後ローンは、金融機関などへ返済する際、他の借入れに比べ返済順位を劣後するローン。最劣後ローンに転換する手法は、DDS(Debt Debt Swap:デッド・デッド・スワップ)と呼ばれています。
DDS(デッド・デッド・スワップ)によって残高を最劣後化
DDSは、事業再生において経営難に陥った中小企業を救済する手法として定着しており、資本性の高い劣後ローンを金融庁が資本の一部と認めれば金融機関にとって貸出しが減少し、貸倒れ引当金も積み増す必要がなくなります。結果として金融機関は、中小企業に対して事業の継続に向けた新たな融資が可能になります。
不良債権の増加必至、対策として旧債務の劣後ローン化
DDSは、債権を株式に転換するDES(Debt Equity Swap:デッド・エクイティ・スワップ)と異なり、中小企業側から見れば借入金には変わりはないものの、返済期限を後回しできるメリットがあります。この猶予期間中に海外進出や成長産業への参入・転業、M&Aなど事業の改善計画を策定し、事業継続が図れるという事業再生の際使う手法となっています。
金融庁は、震災や円高で経営が悪化する中小企業が経営難に陥り、金融機関の債務者区分の引き下げによって融資が受けられなかったり、金融機関が多額の不良債権を抱える可能性が高いとみています。特に被災地では、津波によって事業所が流された企業も多く、二重ローン問題などの難しい問題もあり、不良債権の発生が必至と見ています。
金融機関:中小企業の事業改善への目利きが問われる
金融庁では、検査指針見直しを被災地や中小・零細企業に限らず全国の企業を対象に検討するとしています。現行の劣後ローンは、償還条件や金利など明確な条件は設定されていないため、金融機関でも劣後ローンへの転換には消極的です。金融機関にとってDDSは、急激な円高など企業の劣後ローンへ転換は画一的な手法ではなく、個別な対応が必要です
金融庁の金融支援策である中小企業金融円滑化法によるリスケジュール(条件変更)は210万件を超え,潜在的な不良債権が大きく膨らんでいるます。同法の平成24年3月末までの1年延長では、金融庁は金融機関に対して事業改善のためのコンサルティング機能の強化を強調しています。金融庁のDDSの指針見直しで金融機関早期対応がこの局面を切り開きます。
DDS、金融円滑化法、セーフティーネットなど/TPPなど貿易産業振興が先送りで残念
DDSや中小企業金融円滑化法、セーフティネットの延長、雇用調整助成金など金融庁や厚生労働省では中小企業の支援を呼びかけます。国内企業には、グローバル化、海外市場参入を推進するものの、未だ進まぬTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加やEPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)など、貿易相手国との協定が先送りされているのが現状です。
中小企業が持つ独自の技術や生産、ネットワークなどを新興国で行かせるのに、残念ながら一貫してない政権が原因で、先送りされていることが問題なのです。経済政策はどの先進国も、じっくりと取り組んでいます。経済に明るくない首相がデフレを加速さえてしまいました。次期首相には金融面・外交面・国内消費など、どこからでもいいからデフレ脱却・震災後遺症から脱却したいところです。
●関連記事:金融庁支援:金融円滑化法・リスケジュール申込み170万件超/震災で驚異的に増[2011.6.3配信]
[2011.8.31]
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