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HIS・メディカルツーリズムへ参入!第1弾ハウステンボス・観光未来都市化/政府成長戦略

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初期投資2,000億円超え:回収見込めず会社更生法申請後、ようやく黒字経営に
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長崎県佐世保の大型リゾート施設・ハウステンボスは8月10日、滞在型の医療観光事業・メディカルツーリズムを11月から始めると発表しました。ハウステンボスは、初期投資額2,289億円をかけた巨大プロジェクトで平成4年にオープンしたものの、回収が見込めず平成15年、会社更生法を申請。その後、野村プリンシバル・ファイナンスがスポンサーとなって再建を図りましたが、平成20年のリーマン・ショックにより経営危機が表面化。平成22年1月に旅行大手のHISの傘下となり、平成22年度上半期には黒字経営に移行しました。
メディカルツーリズムという政府の成長戦略の参入に同社の澤田社長は、「観光ビジネス未来都市」の実現に意欲を示しました。今年の株主総会では、エネルギーや介護産業など、大企業による成長産業への新規参入が定款に追加され株主に承認されていました。中小企業もその産業に着いていくか、海外へ市場を求めるか決断の時です。

薬に頼らず健康になる「リゾートウェルネス」目指す
HISでは、ハウステンボスは立地条件や投資規模からみてエンターテイメントだけでは継続できないと判断。成長が見込める医療観光の推進や多様な分野でのベンチャー企業誘致で多角的に再生と成長を行うとしています。すでにアトラクションでは、ベンチャー企業が楽しみながら英会話が学べる「トモダチ・ファクトリー」をオープンさせ、新たな顧客ニーズの掘り起こしが行われています。
メディカルツーリズムでは、施設内の欧州風のホテルに宿泊し「アンチエイジングと未病」をテーマに自律神経の働きや免疫を高める温熱療法に、食事療法やヨガなどを組み合わせ体質改善や減量、癌の予防が行なわれます。HISでは、病気予備軍にターゲットを絞り、薬に頼らず楽しく健康になる「リゾートウェルネス」を展開します。

中国の予防意識度の高さがカギ:ツアー料金25万円
HISのメディカルツーリズムの料金設定は3泊4日で25万円程度を予定しており、中国の富裕層をターゲットに絞り、当初は年間500人の利用を見込みます。中国では医療保険はあるものの、受診できる病院は限られており、待ち時間が長いことも少なくありません。このため富裕層の間では、保険の対象外であっても私立病院などを選ぶケースも多く、高度医療を売りにする病院の治療費も高額となっています。日本の高度医療で体質改善や減量、癌の予防などが可能であれば充分競争力はあるでしょう。
温熱療法はソアラ療法とも呼ばれ、酸素を供給しながら熱伝導率の高い温水で39度を超える体温へ誘導。酸化した血液の還元を図り、癌細胞が増えにくい身体に改善する療法です。澤田社長は、「忙しく働く人たちに、病気になる前に健康になってもらいたい。未来を見据えた医療観光になる」と自信を伺わせます。

HIS戦略:飛行機と船で2回以上の来日へ
ツアーの足となる飛行機に加え、来年3月には長崎・上海間に客船フェリーが就航。最大で1,700名を運ぶことができます。飛行機では体感できない音楽やショー、多様な食事など飛行機と船の両立でリピート客増大も期待できます。メディカルツーリズムをキッカケに長崎県内、さらに九州全域に観光の流れを作ってもらいたいものです。
欧米経済の不安要素による世界市場での株安・円高や国内全域にわたる電力供給不足。節電がいつまで続くか明確にしない政府に製造業などは海外へ拠点を移動し国内空洞化が現実を帯びています。先端医療を提供することで海外からのニーズを取り込むきっかけにしたいところです。

[2011.8.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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