被災地雇用の起爆剤!キャシュ・フォー・ワークで被災者の労働に希望
フリーター増加の影響?労働力人口25年ぶり5割下回る
総務省が昨年実施した国税調査をもとに算出したデータによると、会社員や自営業、就職活動中の国民を合計した労働力人口は平成22年に6,241万人となり、5年前に比べ4.6%減少したことが分かりました。少子高齢化構造とともに、日本の労働力減少の加速が懸念されます。日本の総人口に占める労働力人口の割合は48.7%と25年ぶりに5割を下回るなど、とくに若年世代の労働力人口の減少が目立っています。フリーターなど正規社員を敬遠する若年層は増加一途です。
若年世代の労働力が減少すれば,技術大国、日本の先端技術の承継が滞り、さらなる製造業などの海外移転に拍車をかけかねません。また景気低迷、震災などで傷んだ企業は多く、雇用創出政策が求められます。
完全失業率改善も被災地は悪化傾向
総務省が7月1日に発表した5月の完全失業率は、前月から0.2ポイント改善したものの,4.5%と高い推移を維持したままです。ただし、被災地のデータは追いつかず,岩手,宮城の失業率調査は再開されましたが,福島では以前調査に至っておらず被災3県では7%以上と予測されています。
完全失業者数は前年同月比で38万人減の293万人,就業者数は9万人増と全国的には改善が見られますが、被災地3県の失業者数は前月から1万5千人増え12万9,457人となっています。被災地で就職活動を続ける有効求職者数も前月から6.2%増えるなど、被災地での仕事が見つかりにくい状況が続きます。被災者の願いは何よりも元の生活に戻ることを熱望し、生まれ育った街で暮らし,さらには仕事で収入を得ることなのです。元の生活への希望を絶やさないためにも労働支援を政府,自治体などに願いたいところです。
被災自治体から仕事委託,新たな雇用システム
震災の1ケ月後、気仙沼市の市議会議員が気仙沼復興協会を設立し,復興のための労働力ある被災者に声をかけ,登録を呼びかけました。気仙沼市は同協会に震災による災害の復興関連の業務を委託し、協会は登録した被災者を雇用して労働に対して対価を支払うキャッシュ・フォー・ワークというシステムを確立しました。
気仙沼復興協会には現在約160名ほどの被災者が登録をしており,半数以上が沿岸部で水産加工関連の仕事に従事していました。被災地沿岸部の企業は津波の被害で未だ2,000以上の企業が事業再開の目処が立たない状況です。がれき処理や家屋の泥だしなど未だに多く残る被災地で、労働対価によって収入を得て消費を生み、新たな価値を生み出すキャッシュ・フォー・ワークの広がりが期待されます。
復興への労働意識改革,海外災害現場で実績済み
キャッシュ・フォー・ワークは、無償で支給される義援金と異なり、労働の対価として支払われるため様々なメリットがあります。被災者自ら労働し賃金を得るという尊厳の回復。雇用の確保による生き甲斐や希望。労働によって復興への役割に参加できたという新たな価値を生み出すことができます。
キャッシュ・フォー・ワークは、このような理由から海外でも災害復興の場面で採用されてきました。平成16年のインド洋大津波災害を受けたインドネシアや、平成20年のミャンマー・サイクロン災害。平成22年のハイチ大地震など数多くのNGOや国連機関によってキャッシュ・フォー・ワークが実施され,効果を挙げてきました。東北被災地でも市町村から支援要請により被災者の雇用が進んでいます。労働の対価として得られる収入によるキャッシュ・フォー・ワーク。被災地でより一層の広がりを見せてもらいたいものです。
[2011.7.27]
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