政府・沖縄「入国緩和措置」マルチビザ発給で中国人観光客回復促進
外務省:中国富裕層1,000万人超えにリピーター促進、数次査証を発給
外務省は7月1日から中国すべてのの在外公館で、沖縄を訪れる富裕層の観光客にマルチビザ(数次査証)を発給することを新たに始めました。ビザは3年間有効で、1回目の滞在が沖縄であれば2回目以降の滞在は日本全国どこでも可能となります。1回の滞在期間も従来の15日間から90日間と大幅に延長され、観光やショッピングにゆっくりと滞在して中国富裕層の消費意欲を喚起する工夫が必要です。
日本では、マルチビザを観光目的で導入するのは初めてで、外務省による沖縄を入口とした入国緩和措置によって観光客回復に繋げたいところです。中国の富裕層は1,000万人を超え、若い世代が多く家族連れなどが特徴。中国には少ない白い砂浜でマリンレジャーや富裕層向けのメディカルツーリズムなど、需要をしっかり見極め、受け入れ態勢を固めたいところです。
沖縄~中国間、航空便週9往復から週15往復に増便、現地交通・観光インフラ課題克服
中国の海南航空は、7月28日から北京・那覇間を就航予定など、沖縄と中国を結ぶ航空便が7月から週9往復が15往復に拡大します。沖縄到着から課題となるのは交通・観光インフラなどが考えられ、課題克服に政府や自治体、産業団体の連携は欠かせません。沖縄の観光情報発信や観光接客での人材育成、レンタカー、ナビゲーション、交通表示など、沖縄の魅力を感じ、もう一度訪れたいと印象づけなければリピーターを増やすマルチビザ発給の目的は果たせません。
日本・中国間では過去、歴史上の問題からぎくしゃく関係が続きますが、沖縄での「おもてなし」が中国人観光客に受入れられれば、沖縄はもとより、九州、関西へも足を伸ばしてくれる可能性が高まり日本ファンを増やすことができます。官はぎくしゃくでも、民間は仲良く地域活性化に入国緩和措置を生かしたいところです。
観光客の国内支出額は約1兆1,490億円、中国観光客21.7%支出トップの2,498億円
沖縄には自衛隊や米軍の基地が集中しており、昨年の尖閣諸島での漁船追突事故など日中間では安全保障を脅かす動きも見られます。この状況下、不特定多数の中国人観光客が増加する予測に与党・国民新党からは拙速との声も上がりました。普天間基地移転問題による政府・沖縄間の関係改善とも見れる緩和措置。政府は、4月に閣議決定した「規制・制度改革の基本方針」に沿ったものとしていますがこのタイミングでの発給開始に疑問も残ります。
中国人観光客へのビザ発給は、平成12年の団体ビザ解禁に始まり、平成21年7月には富裕層限定の個人旅行向け。さらに昨年7月には年収6万元(約75万円)以上の中間所得層にも拡大され訪日観光客急増の追い風となりました。観光庁によると平成22年、外国人観光客の国内支出額は約1兆1,490億円でしたが、このうちトップは中国の2,498億円と21.7%を占めました。中国人富裕層の沖縄入国緩和に経済効果を期待したいところです。
消費喚起に中国のクレジットカード「銀聯(ぎんれん)カード」対応は必須
沖縄県では、入国緩和措置を受け「観光マルチビザ創設キャンペーン」事業で、中国の「銀聯(ぎんれん)カード」の利用を整備する決済端末を昨年の3倍規模で設置を検討しています。県は昨年、沖縄を訪れた中国人観光客向けに「銀聯カード活用中国人観光客購買行動調査」を実施、カードの利用環境が不十分で消費の機会損失があったことからの対応策です。
中国では、日常の買い物を含めクレジットカードより「銀聯」というデビッドカードでの決済を多く望んでいます。日本での利用は。平成17年より始まり、外貨の持ち出し制限などで大金を持って買い物を楽しめない中国人観光客には必須品となっています。相手の需要を把握し、課題を克服しておもてなし観光で満足してもらいリピーターに繋げましょう。外務省の入国規制緩和が起爆剤となり観光客の回復、発展に弾みをつけましょう。
▼関連ページ:オフィシャルサイト「観光立国実現へ戦略的観光産業政策」[2010.12.10更新]
●関連記事:外国人の「日本離れ」で冷え込む国内観光産業/旅行者の掘り起こしに新機軸[2011.5.28配信]
●関連記事:国交省:観光立国復活目指す。ミシュランガイド日本観光支援(5/13改訂)「松島」三ツ星評価、「平泉」世界文化遺産内定[2011.5.10配信]
[2011.7.9]
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