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東証・大証統合:国際競争力強化!、震災復興途上の日本に海外投資家招集

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官民一体で海外インフラ:ベトナム原発、イギリス新幹線受注へ
政府は、昨年6月に21世紀の日本の復活に向けた「新成長戦略」を閣議決定し、日本の先端技術や経験を集約し、官民一体、オールジャパンで海外に臨むという戦略を立てました。新成長戦略に掲げた「パッケージ型インフラ(社会基盤)の海外展開」では、昨年11月のベトナムの原子力発電や、今月はイギリス・ロンドンの高速鉄道など成果を表しています。拡大が見込めない国内市場から目を海外へ向け、政府と民間企業が一体となって交渉、受注までこぎつけ、国内産業へ波及効果をもたらしてもらいたいものです。原発などせっかくの先端技術も福島原発の事故で揺るぎそうです。考察してみるとM9の地震には耐えた原発!大津波は想定外だったものの、ある意味では災害に強い原発といえます。
 
業界イノベーション:新日本製鉄、住友金属再編
先月、鉄鋼大手の新日本製鉄と住友金属工業の再編も、国内から海外での競争力強化に向け、経済産業省が後押し。公正取引委員会の独占禁止法による国内シェア問題を、海外シェアに見越すなど、産業活力再生法の改正案を国会に提出。合併は問題なくできる見通しとなったようです。海外の鉄鋼メーカーとの競争力争いでは、さらなる日本の先端技術やサービスが生み出され、停滞気味の重工業がおおいに活性化されるでしょう。

東京証券取引所、大阪証券取引所合併:システム効率化で格安手数料
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東京証券取引所と大阪証券取引所は3月10日、統合・再編に向けて協議に入ると発表しました。金融界も海外に向け、国際競争力を高め、海外の投資家を日本市場に取り込む狙いのようです。両取引所では、ともに現物株やデリバティブ商品など各々システムへの投資や手数料が取引所ごと運営されています。投資家目線では、複数の市場に重複して上場している企業などは、両取引所に二重で経費が上乗せされた手数料を支払うこととなり、敬遠になりがちとなるでしょう。これを一つにまとめ、システムの効率化を図り、コスト削減。さらに手数料も1取引所で済ませ、余力を英語表示などに変えれば、日本の「おもてなし市場」となり、海外からの投資家も集まりやすいでしょう。
 
世界トップ:NYSEユーロネクストとドイツ取引所/ロンドンとトロントが合併協議中
世界では、時価総額トップの「NYSEユーロネクストとドイツ取引所」、また「ロンドン取引所とトロント取引所」が世界の投資家招集に向け合併に動くといます。アジアでもシンガポール取引所が、オーストラリア証券取引所の買収で合意しています。統合へ向けた協議から実行、スピードを重視した動きに期待したいところです。国内には、他にも名古屋取証券引所や福岡証券取引所、札幌証券取引所などがあり、各々、システムや手数料などの問題が残ります。市場を世界に向けて、オール・ジャパンで再編、海外の投資家を集め、拡大した市場を作り上げたいものです。東京工業品取引所や穀物商品取引所も含めれば政府の「総合取引所:アジアの新金融立国」構想の後押しにもなりそうです。

大証社長「やるなら3カ月以内に基本合意」スピード重視
大阪証券取引所は、昨年10月、ジャスダックとヘラクレスを再編した新興市場、「新ジャスダック」の取引をスタートさせましたが、昨年のIPO(新規株式公開)は22件に過ぎませんでした。上場への高い障壁からベンチャーはアジア市場へ上場を始めたのです。再編によって、IPOの際の初期費用の負担やヒアリング、相談、書類手続きなど簡素化されれば、公開しやすくなるでしょう。
東京証券取引所は、現物株取引で国内シェアは95,7%を占め、大阪証券取引所ではデリバティブ取引が52,1%のシェアを持っています。再編が決まれば東京と大阪という地域の枠組みでなく、金融商品別に組み直し、一体化でコストを抑え、さらに得意分野を伸ばすことができるでしょう。再編協議に向けて東京証券取引所の斉藤社長は、「まず上場を先にやらなくてはならない」と今秋の上場後に再編と慎重な発言に対し、大阪証券取引所の米田社長は、「やるなら3カ月以内に基本合意まで行きたい」とスピード優先の考えのようです。

証券イノベーション、インパクとのある再編が必要/それでもNYSEユーロネクスト+ドイツの1/4程度
世界の主要取引所の時価総額を見ると、東京証券取引所が3兆8、300億ドル(約317兆8、900億円)と世界3位、大阪証券取引所が2,700億ドル(約22兆4,100億円)と29位の市場なっています。仮に「東京+大阪」となっても4兆1,000億ドルで、世界最大市場となる「NYSEユーロネクスト+ドイツ」は17兆7,500億ドルと23,1%、1/4にも満たないのです。海外でさらに競争力を高めるには、東京と大阪が統合・再編し、さらにアジア市場を含めた再編も考えなければならないでしょう。
 
 
総合取引所構想「日本のやる気」/海外からは注目
大阪証券取引所の米田社長は、「できるだけ早期にイノベーション(革新)が起きる形で進めることが大事だ」と大胆な再編、インパクトを与えることの必要性を協調しています。金融庁をはじめ政府と、取引所が一体となってオール・ジャパンで海外の投資家に「日本のヤル気」を見せて欲しいものです。総合取引所が実現されれば窓口の一本化で、さらに海外からも注目されるでしょう。

競争力強化、統合、再編、大胆なイノベーション
今にも倒れそうな日本の政権に国民はうんざりでしょう。政府も海外で競争力強化のために統合・再編と大胆なイノベーションを起こさなければなりません。所属や官民を超え、重要なポストには「この人しかいない、この人なら海外と太刀打ちできる」リーダーを皆で選び支援し、オール・ジャパン体制で国際競争に臨み、「本気で日本を変える」という姿を見せなければ、日本は海外からも相手にされなくなります。政府が決断し、役人が忠誠心をあらわにすれば日本国民の将来は明るいのです。

[2011.3.26]
 
編集後記
本原稿は3月11日に掲載を予定していた経済時事原稿です。関東、東北大地震が3月11日に発生したため、急遽原稿を差し替えた経緯があります。福島原発事故で停電、復興、救済といったニュースが多く経済記事が少ない中、市場の現実面では粛々と東証・大証統合が進んでいます。ある意味で隠れた経済復興の一歩です。

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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