LCCで訪日外国人増加:東北新幹線「はやぶさ」デビューで「おもてなし」の国、日本ファンへ
東北新幹線「はやぶさ」:国内最速、乗り心地の良さ/高い技術力
東北新幹線に3月5日、山陽新幹線と並ぶ時速300kmで走る「はやぶさ」がデビューしました。東京・新青森駅間を3時間10分と、これまでより10分早く結ぶと言います。平成25年春には、スピードは時速320kmに引き上げられ、国内の新幹線では最速となります。「はやぶさ」の乗り心地の良さには高い技術が背景にあります。主なものにはトンネル通過時の騒音、振動を抑えるロングノーズや、音が小さいパンタグラフの開発、揺れを感知し振動を抑えるサスペンションなど高速走行でも、安定した乗り心地が提供されています。
海外で企画されている高速鉄道、「はやぶさ」で世界中に!
高速鉄道は海外でも多く計画され、日本の鉄道も官民一体となって海外へ新幹線の売り込みを行っています。JR東日本では、先の米国フロリダ州の高速鉄道プロジェクトで、JR東海などと新幹線売り込みを懸けていたものの、フロリダ州の財政懸念から計画は中止になってしまいました。落胆は残るものの「はやぶさ」デビューの実績で、さらに売り込みに必要な武器が強化されました。高速鉄道計画は、他にもカリフォルニア州や、ブラジル、インド、香港、カタールなどで計画されています。一度も事故のない安全で安心の新幹線。新しい「はやぶさ」が世界中で走る姿をみたいものです。
アジアからのスキー客に新幹線はやぶさで「おもてなし」
国内市場の産業活性化に観光大国を目指す日本は、「はやぶさ」という新しい武器を手に海外からの観光客をより招致したいものです。「はやぶさ」の一番の魅力は「新幹線のファーストクラス・グランクラス」でしょう。先頭車両のロングノーズで客室が狭くなるのを逆手に取って、あえて18席という広々したスペースを確保。革製の座席は1列に3席で幅も広く、専属アテンドから雑誌や、東北食材の弁当、飲み物が提供されると言います。さらに女性用化粧室に車いすで入れるトイレなど至れり尽くせりで、海外にはない日本の「おもてなし」車両と言えるでしょう。大手旅行代理店ではすでに「はやぶさ」乗車のツアーも販売されています。アジアを中心とした海外に向け「はやぶさ」の姿を、早いだけではなく「おもてなし」として日本の心を発信したいものです。
スキー場:日本は減少・海外は増加、台湾スキー協会花巻空港にチャーター便
この時期、日本のスキー場は、減少する日本人から、増加する外国人となっているようで、スキー場によっては外国人観光客の方が多いところもあるようです。過去、オーストラリアなどからスキー、スノボードで訪日することはありましたが、最近では成長著しい中国や台湾、韓国からのスキー観光客が急増していると言います。台湾のスキー協会では岩手の花巻空港と往復のチャーター便を飛ばすなど、アジア新興国ではスキー、スノボードが人気のようです。「はやぶさ」デビューで、アジア新興国からの観光客に向かって、今後は東北でお土産買って、「はやぶさ・グランクラス」で日本の「おもてなし」を体験した後、東京を観光。羽田から帰国と、日本を回遊するツアーが欲しいところです。
マレーシアLCCプロモーション、訪日外国人45%増
JNTO(日本政府観光局)が2月24日に発表した「1月の訪日外客数・出国日本人数」によると、訪日外国人は71万4,000人と前年同月比11.6%増となりました。国別で見ると、韓国が26万8,400人と同比15,7%と最も多く、中国99,300人が同比7,8%増、台湾97,100人が同比8.1%増と続いています。観光立国を新成長戦略に政府は、韓国や中国、台湾で昨年10月から、ビジット・ジャパンの広告をテレビや新聞、雑誌、ネット、バスなどで行っていると言います。さらに韓国では、昨年10月から羽田・ソウル便の増便をJNTOと航空各社で共同広告やイベントを展開。政府の支援で韓国からの訪日増加に効果が出てきたようです。
政府は、昨年10月にオープンスカイによって羽田の発着便枠を拡大、24時間体制でアジアのLCC(格安航空会社)を受入れました。なかでも効果を上げたのはマレーシアのLCC・エアアジアXで、昨年12月9日から羽田・クアラルンプール間を就航。片道航空料金は大手航空会社の半額と言います。しかも就航キャンペーンでは、同区間片道5,000円と、日本の国内よりも安い価格の話題性のあるプロモーションを打ち出しました。その効果は歴然で、マレーシアからの訪日は数こそ少ないものの、前年同月比で45%増の6,800人となりました。
観光客:空港を拠点に新幹線で北へ南へ
エアアジアXは、「お試し」というプロモーションで日本訪日だけでも45%増という効果をもたらしました。エアアジアが発表した平成22年12月期の決算では、最終利益が前期比の約2,1倍の約28億円となったようです。徹底したコスト削減や誰もが驚くキャンペーンなど、メディアを視野に入れたプロモーションの成果だったのでしょう。同社のトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)は、「今年は、航路ネットワークの拡大やフィリピン就航などで、座席利用率や利率の増加を実現し、前進していく」と、コメントしています。
海外航空のLCC、ANAもH23年から参入
大手航空会社の半分の運賃でも、5,000円と話題となるキャンペーンでも、黒字となる経営は、需給のバランスの徹底したマーケティングの結果でしょう。日本の航空会社では、ANAが関西国際空港を拠点に、平成23年度中にもLCCを新設し、国内外の運行を始めるようです。海外から羽田、東北新幹線で東北地方へ。そして関空から山陽、九州新幹線で九州へ。数多くの訪日外国人客で国内産業に活況を呼び戻して欲しいものです。
最近のEPA・TPPをはじめ訪日観光客を見据えた国内産業
政府は先月、インドとEPA(経済連携協定)を締結、夏に発効を目指し、TPP(環太平洋経済連携協定)も今年11月のAPECで合意、締結されます。日本と環太平洋諸国との人の流れがスムーズとなり、さらなる訪日観光客が増えてきます。内需型企業にとっては、萎む国内市場に訪日外国人の消費が大きく期待されるところです。何を求めて、何を見に日本へ来るのか観光客のニーズに合った商品やサービスを供給するのかを研究、調査ましょう。いわゆる「満足」を提供すれば、クールジャパンの一環として日本ファンをさらに増して観光客リピーターとなって今後も国内産業を盛り上げてくれるでしょう。
[2011.3.8]
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