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中小企業再生支援協議会:リスケで一服!?事業再生相談件数4割減に今、すべきこと

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再生計画策定支援で5,200名の雇用を維持
経済産業省が2月18日公表した、中小企業再生支援協議会の平成22年度第3四半期(平成22年10月~12月の活動状況」によると、各都道府県に設置された同協議会へ相談に訪れた企業数は、445社と前年同期の727社から38.8%減少しました。第3四半期に同協議会が行った再生計画策定支援完了社数は83社で、約5,200名の雇用を維持、確保の効果があったとしています。相談企業への対応では、金融機関へのリスケジュール(条件変更)が全体の約9割を占めたようです。経済産業省では、この結果について中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)や信用保証協会による100%保証の景気対応緊急保証など、資金繰り支援の効果とみているようです。
同協議会は、平成15年に設立、各都道府県の商工会議所などに設置され、昨年12月末までの企業の相談件数は累計で21,694社となっています。

製造業、卸売・小売業、サービス業の順/従業員21~100名の企業が5割以上
平成22年度第3四半期の相談企業の業種を見ると、製造業、卸売・小売業、サービス業の順で割合が高くなり、従業員数では、21~100名の中小企業が全体の約5割以上を占めています。中小企業再生支援協議会への相談企業445社への対応状況では、「相談段階で課題解決」が6割を超え、「再生計画策定支援」が3割と続き、「協議会での再生困難」はわずか2.2%にとどまりました。再生計画策定が完了した企業83社の事業面の施策では、51.8%を占める43社が「管理会計手法の導入による製品別、取引先などの選択と集中」と応えています。平成22年度4月から12月を見ても、2,851社中1,497社と52,5%と高い水準となっています。

デューデリ、キャッシュフロー経営で半分の企業が課題解決
デューデリジェンス(事業精査)によって、財務の実態を把握し、PLやBSではなく、キャッシュフローがベースとなります。製品や取引先を部門ごとに精査。採算の取れない事業は切り捨て、利益の出る事業へ統廃合することで半分の企業の課題が解決しています。施策は、「グループ再編などによる不採算事業撤退や効率化」が12%と続いています。国内市場が縮小するなか、企業は円高を背景に海外企業をM&A(企業の合併・買収)が増える報道も見かけます。国内ではTOB(Take-Over Bid:株式公開買い付け)による子会社化など再編。MBO(Management Buy-Out:経営陣による株式の買収)によって、株主から経営者が戦略策定を打ち出すなど再編が多く報道されます。

金融庁:中小企業支援効果:リスケ申込み140万件!
金融庁が2月25日公表した「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(速報値)」によると、主要行や地銀など銀行へのリスケジュールの申込数は、昨年12月末時点で866,495件と9月末時点の667、416件から約20万件、29.8%増加しました。毎日約2,200件のリスケジュール申込みがあった計算になります。信用金庫や信用組合、労働金庫、農協など含めた金融機関全体で見ると、平成22年9月末時点に113万3,494件の申込みがあり、12月末には約130万超えは確定しました。さらに、信用組合なども加われば140万にも及ぶと予想されます。資金需要が高くなる年度末の3月、さらにリスケジュールは増加すると予想されます。
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信用保証協会が100%保証する景気対応緊急保証も、前年よりは減少傾向にあるものの、保証承諾件数は、年末12月には前月比41,1%増となっています。年度末を迎え、資金繰り対策に増加が見込まれます。
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中小企業は、政府のモラトリアム法や景気対応緊急保証などの金融支援、エコポイントや税制優遇措置など経済支援で中小企業を下支えしてきました。大企業は既に企業・経営再編に動き出し、次は中小企業が行動に移す時です。

中小企業イノベーション元年/EPA、TPPを活用
リスケジュールで条件を変更、緊急保証などで資金繰り対策が終わって一安心とした企業も多いことでしょう。今こそ、財務状況を見直し、キャッシュフロー経営に乗り出す時です。これだけの作業で再生支援を行った企業の半分が課題を解決することができました。
TPP(環太平洋経済連携協定)、EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)と、海外との「ヒト、モノ、カネ」が流れ始める産業の変革年です。経済産業省は、米国国務省やJETRO(日本貿易振興機構)、スタンフォード大学と共に2月23日、産官学のシンポジウムを、米国シリコンバレーにあるスタンフォード大学で開催。同大学は政界や経済界、教育界、スポーツ界に名高る卒業生を輩出しています。経済産業省では、米国国務省とともにイノベーション(技術・経営革新)、起業、雇用創出促進のための対話を持つなど不況、デフレ脱出に動いています。リスケジュールで一服した今こそ財務を把握し、利益の出る体制に事業を統廃合。新しい市場の調査で受給を見極め、海外など新しい市場への進出や新事業への参入、転業し、黒字決算を迎えられる企業へと移り変わる時です。

[2011.3.3]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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