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TPP参加で危機感!農水省/米穀の国際市場拡大を企画、まずは中国

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TPP参加で農産物売上げ780億円減
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TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加の是否は、農業関係者の間で大きな波紋となっています。貿易自由化と例外のない関税の撤廃は、安い農産物の輸入で国内農産物生産者のダメージは大きいと各方面から声が上がっています。群馬県の農政部ではTPPに参加した場合の、県内の農業への影響を試算。コメや麦類、生乳、肉類など平成21年の農産物額は2,207億円で、このうちの35%にあたる780億円が輸入によって減少することがわかりました。

米穀:TTP大打撃:90%無くなる?
大打撃を受ける米は、昨年の群馬県内産出額185億円で、その90%にあたる166億円が減ると試算しました。県産米の価格は、現在1kg200円強、一般の輸入米は60円強となっており、ブランド米を除けば。すべて外国米に置き換わるとみています。到底まともに勝負にはならない価格に、国内生産者は、逆に高級米としての輸出向けへの製品化やブランド米への切換え、需要に合った加工、付加価値を付けた農産物への移行、新産業への転業など次へのこれからの対策を考えねばなりません。
TTP参加の場合、輸出産業にとっては関税がなくなり安く商品を販売することできる利点がります。しかし一方で農林水産業は、外国産が同様に非課税で輸入されるため、価格で勝負にならなくなるのです。このダメージを受ける部分を政府の経済支援や金融支援、規制緩和などで乗り切るしかないのでしょう。

新米価格15%ダウン:米食離れが原因
新米の値下がりが止まらずに平成22年10月、前年同月比約15%、価格が下がっていると報道がありました。11月29日、農林水産省の食糧部会の報告によると、平成22年の新米は、過去最低を記録した9月に続き、10月は60kg12,781円(1kg213円)と例年の平均取引価格を1,000円以上も下回っています。最大の理由は、需要と供給のバランスで消費者の米離れに歯止めが止まらないといいます。農林水産省によると平成21年7月から1年の需要量は814万トンで、10年前から70万トンも減っています。
日本の食文化はこの数十年で大きく変わってきました。昔は食事と言えばご飯とみそ汁、漬け物が食卓に並んだものです。しかしパンやパスタ、洋食系ファストフードの急増と、国内の米の消費が減ってきているのです。米の価格がこのまま低迷すれば、戸別所得補償制度はあるものの生産農家にとっては収入の減少になります。

米穀輸出先:1位2位は西アフリカ、中国は年30トンで10位
筒井農林水産副大臣は11月8日~10日、中国・北京を訪れ、米を中心に日本産の農林水産物や加工食品の、対中輸出協議に出かけたと報道されました。まだまだ高いと言われる日本産の米は、海外での日本食ブームから中国でも販売されています。農林水産省の平成21年の調査では、中国のデパートで新潟コシヒカリは1kg1、200円強で中国産高級米の4倍ですが、過去十数倍あった価格差は縮んでいます。訪日する中国人観光客の中間層、富裕層には手が出ない価格ではないでしょう。中国資本になった「ラオックス」銀座では日本の家電品で「炊飯器」のお土産が人気だそうです。日本観光で炊飯器を購入し帰国後は日本産のブランド米を炊いて、栄養バランスのよさを実感して欲しいものです。
農林水産省では米などの農産物の輸出拡大に向け、円滑に輸出できるよう食品の安全基準づくりなどを進めています。米穀の輸出量は平成21年、西アフリカのニジェールの11,606トンがトップで次いでこちらも西アフリカのガンビアが3,600トン、中国は10位でわずか30トンしか輸出していませんでした。日本食ブームで中国を筆頭に、経済成長を遂げるアジア新興国へ農産物を輸出。高品質、安全、安心な日本の食材、食文化を広めたいものです。
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農水副大臣:農産物の国内消費から国際市場に拡大へ
政府は海外との経済連携を進める一方、農業の競争力を図っていく方針で、その中で農林水産物の輸出増大は一つの柱と考えています。11月7日、鹿野農林水産相は、「農産物の販売を国内だけでなく国際市場に広げられれば、農業者の新たな意欲につながる」とコメントしました。経済連携が多くの国と結ばれ、24時間体制となった羽田国際空港から農林水産物を載せた数多くの貨物機が飛び立って欲しいものです。

ダイエットにSANYOのGOPANで欧米へ輸出
米は小麦よりカロリーが低く、ダイエットにも適しています。海外ではダイエットの目的から日本食に興味を持つ方も多いと聞きます。最近の米粉パンブームはこうした背景からの人気なのでしょう。爆発的な人気で製造が追いつかず、予約販売を一時ストップしたSANYOの家庭用のパン焼き器「GOPAN」は米粒から米粉パンが家庭でも作れます。パンの需要の多い米国や欧州にも米を輸出するアイデアとキッカケを作ってくれた感があります。中国やアジア各国など新興国、そしてEUなど日本のご飯と米粉パンを普及させれば、米あまりどころか米穀が外貨獲得の主要輸出品になるのです。世界中で米穀が小麦に肩をならべる日が来るかもしれません。

●関連記事:オフィシャルサイト「TPPで日本の農漁業が変わる第6次産業」

[2010.12.10]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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