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日銀緩和政策:J-REITに活況、不動産・住宅産業へ波及

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思惑通りの「呼び水効果」で前月比35%増
日銀は11月3日、資産買入等基金によるETF(指数連動型上場投資信託)やJ-REIT(不動産投信信託)など多様な金融資産を9日より買入れることを発表しました。買入れ予定額は当初は1,000億円で日銀初となるETF、J-REITの買入れで不動産市場に明るい兆しが見えそうです。
日銀は10月5日の金融政策決定会合で「包括的な金融緩和政策」の一環としてETF、J-REITなどの金融資産買入れを発表しました。J-REIT市場には、日銀の買入れ前にもかかわらず信用・安心感から市場への資金の流入が始まりました。東証J-REIT指数は、連日高値を更新しており、日銀の「ゼロ金利政策」による低金利の長期化で、J-REITの高利回り人気も後押ししているようです。東京証券取引所は12月1日、11月のJ-REITの売買代金が3,242億円と前月比35%増だったと発表しました。また前年同月に比べ約2倍の売買で平成20年、リーマンショック直後の高い水準となりました。「包括的な金融緩和政策」の投信信託買入れは、日銀の思惑通り「呼び水効果」となり、市場に活況を取り戻しました。
101206_1.gif投資家を呼び戻すにはリスクも覚悟
ETF市場でも同様に11月の売買金額は、2,596億円と前月比15%増で前年同月からも約2.2倍に増えました。ETF市場はこれで2ケ月連続してマザーズの売買金額を上回っています。
日銀は過去の金融緩和政策で、元本割れリスクのない金融商品を中心に買い入れていました。金融機関にとって不動産市場への投資は、バブルの苦い経験からどこの金融機関も慎重です。長く続くデフレ経済の中で日銀の思い切った買入れは、株価、不動産価格に直接影響を及ぼす金融商品であるにもかかわらず買い入れを行うのです。これは安全資産に閉じこもったままの投資家を市場へ呼び戻したいという日銀の願いなのでしょう。

新たな投資家を呼ぶ日銀発表の効果
J-REITは、複数の投資家から集めた資金で複数の不動産を保有し、売買や賃料などで得られた利益を投資家へ還元します。不動産はオフィスビルや商業施設、マンション、住宅など様々です。複数の投資家から集めた資金で不動産を売買するため、投資家一人当たりの出資金が少なく30~100万から投資できます。金融商品の中では比較的、手を出しやすい金融商品と言えます。ただし、不動産価格が下がるとJ-REITの基準価格も下がることを覚えておかなくてはいけません。
低金利の今、日銀のJ-REIT、ETFの買入れ発表で新たな投資家も市場へ集まり、より一層の大きな市場に育ててもらいたいものです。

不動産価格上昇か、フラット35過去最高
首都圏の不動産市場では、新築マンション販売率や住宅着工数増加、オフィス空室率など、ピークアウトが過ぎ上昇傾向にある感があります。このような背景からもJ-REITに投資家が戻ってきたとも言えるでしょう。東証J-REIT上昇率トップ10には、中小不動産株が入り始めました。
住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携した金融商品、住宅ローンの「フラット35」も10月の申込数は過去最高の18,500件になりました。前年同月に比べ2、3倍の申込数に不動産市場にも活況が湧いてきました。
J-REIT市場は日銀の買入れ前から効果を現し、市場に活況をもたらせてくれました。住宅産業では新築住宅や中古住宅、付加価値を加えたリフォーム業が盛り上がりを見せそうです。明るさの兆しを見せ始めた不動産、住宅産業から他の産業へ波及効果をもたらせ、活気ある師走にしたいものです。

[2010.12.6]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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