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金融円滑化法100万件超、終了延長か?緊急保証は「借換え保証制度」に!?

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リスケジュール申請100万件超え!
101201_1.gif金融庁が11月26日発表した「中小企業円滑化法に基づく全金融機関による返済条件緩和の対応状況」によると、同法施行から今年9月末時点で中小企業による金融機関への条件変更の申請件数が1,114,889件で返済猶予や金利減免などに応じた件数は979,693件となりました。6月末時点の申請件数474,815件から134.8%増、対応数も390.738件から150.7%増で、わずか3ケ月で倍以上にリスケジュールの申込みでした。
駆け込みとも見える申請件数増加は、平成23年3月末に終了する同法への対処と考えられます。モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)は金融機関などに対し、中小企業が返済条件の緩和を求めればできるだけ応じる努力義務を課しています。資金繰りの悪化が予想される中小企業も今のうちに余裕を持ってリスケジュールし、そこで安心せず、余裕を持って事業の見直し、改善計画を立てる必要があります。

知ってますか?リースも金融円滑化法(リスケジュール)が可能
モラトリアム法は平成21年12月に施行し、平成22年4月には、経済産業相からリース業界へも返済条件の緩和の努力義務を課しています。財団法人リース事業協会(東京都千代田区平河町2-6-2会長:小幡尚孝)が11月24日発表した「中小企業に対するリースの支払猶予への対応について」によると、今年4月16日から9月30日の期間、リース会社に対する条件緩和の申請件数は1,884件で支払猶予などに応じたのは1、166件でした。金融機関への申請件数に比べ、わずか0.2%と少なく見えます。中小企業ではコピーなど事務機器やパソコン、製造業に至っては道具や機械など数多くリースは利用されています。同協会によると調査対象はリース会社26社、1社あたり72件と、リースがモラトリアム法の適用範囲ということが中小企業に認知されていないのかもしれません。
同協会のリース取扱高の動向をみると今年10月、3,776億円と前年同月比7.6%減。4月から10月までは2兆6,165億円と前年同期比9.1%減となっており、品目をみると情報通信機器が構成比43.7%、次いで事務用機器18.7%、商用及びサービス業機器14.1%と続いています。

金融相:延長発表なるか
金融庁は、平成23年3月までの時限立法であるモラトリアム法(中小企業金融円滑化法)を、平成24年3月まで1年間延長すると11月30日付けの日本経済新聞が報じました。金融庁では中小企業において依然厳しい経済状況が続いていると判断、資金繰りを後押しするとして来年の通常国会に同法の改正案を提出予定です。自見金融相が近く同法の延長を発表すると報じました。
モラトリアム法案は平成21年12月施行以来、平成22年9月末までの申込みの累計が100万件を超え、中小企業の資金繰りを後押し、倒産の防止策として効果を発揮しています。資金繰りが悪化した企業にとっては、同法は事業の改善や新しい事業に向けた準備期間を与えてくれました。しかし、あくまで同法は返済の猶予であり、債権が償却される訳ではありません。リスケジュール期間が終了すれば返済が再開されるのです。

緊急保証は23年3月終了の後は、「借換保証制度」で負担減
緊急保証制度が平成23年3月に終了します。その後の中小企業への金融支援策検討は中小企業庁内でも行われ、同庁の11月29日の公表によると、信用保証の一部弾力的運用があるようです。主な内容は中小企業の複数ある約定を一本化して、返済期間長期間化した新制度「借換保証制度」を導入し、中小企業の毎月の返済負担を軽減させるとしています。中小企業への支援対策は、1、借り換え・条件変更の推進、2、既存の資金繰り対策の利用促進、3、金融機関への配慮要請、4、相談窓口の拡充、5、中小企業関係者との意見交換を全国で実施するなど5本柱からなり、同庁では信用保証協会や日本政策金融公庫など各種金融機関との連携を強化するとしています。

101201_2.gif間に合うか年末対策!
早くも平成22年12月です。中小企業の資金需要の繁忙期となる年末へ向け、総額15兆円規模の資金繰り支援策を行う計画です。これは審議中の補正予算(5,653億円)が成立してのことです。国会では問責決議などで審議が中断していますが、中小企業庁の具体策は早急に予算化して年末の年越し資金として有効に活用したいものです。

リスケ中にDD、BPRで黒字決算に成功
金融庁、中小企業庁の金融支援は、資金繰りに困惑する中小企業に救済の手を伸ばしています。すでに資金難に陥った企業、また今後資金繰りの悪化が予想される企業も、余裕のある今のうちに金融円滑化法を利用してリスケジュールし、少しでも体力を温存しましょう。そしてリスケジュール期間中には安心してしまい怠惰な経営をせず、デューデリジェンス(DD)BPR、事業改善計画策定などによって事業そのものの見直しましょう。そして、新しいマーケットや関連事業を探り、健全な経営体質になるよう目標を持ちましょう。次の決算では単年度黒字決算を迎える目標設定が必要です。リスケジュール期間、元金の返済猶予などで安心してばかりいられません。改善する時間を確保できたと考えて、企業体力の向上に向け決断し行動する時です。

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[2010.12.1]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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