モラトリアム法延長!リスケジュールで倒産減少は明らか!判断のとき!!
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企業倒産件数14ケ月連続減
政府の中小企業金融支援策であるモラトリアム法(中小企業金融円滑化法)や景気対応緊急保証によって金融機関やリース会社などへの負担が猶予され、企業の倒産件数も減少傾向にあります。
東京商工リサーチによると平成22年上半期(4月~9月)の企業の倒産件数は前年同期比15.2%減の6,555件。このうち負債100億円以上が31.1%減の274件で上半期としては平成2年の105件以来、20年ぶりに300件を下回りました。単月でも14ケ月連続減少し同法や緊急保証の効果が高いことがわかります。
モラトリアム法の施行から間もなく1年が経過します。来年早々から返済が再開される企業も多く事業の改善、経営計画、コスト削減などが実行されているか懸念されます。
一部倒産増加地域、出始める
東京商工リサーチ埼玉支店が11月5日に発表した10月の県内の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比18.2%増の52件で、5ケ月ぶりに前年同月を上回りました。急激な円高や長引くデフレで経営改善計画も進まなかったのか製造業や卸売業、建設業を中心に中小・零細企業の倒産が増え出したようです。
また同社奈良支店では11月4日、モラトリアム法でリスケジュール(返済猶予)をしていた県内の製造業が破産申請をすると発表、同法を適用していた企業の倒産は県内で初めてだそうです。
自見金融相:モラトリアム法延長?いまだに放置
モラトリアム法は時限立法で平成23年3月で申込を終了します。金融庁は10月28日、全国財務局長会議を行いモラトリアム法の実務状況などを意見交換、年末に向け資金繰りが厳しくなる中小企業の相談に積極的に応じるよう各財務局長に要請しました。自見金融相は「円高の影響もあって中小企業をめぐる状況は厳しい」とし、返済猶予法の延長を検討する考えを示しましたが今日までに具体的な発表はまだありません。
リスケジュールだけでは倒産先送り
中小企業にとってモラトリアム法は、返済が猶予され安心を与えられたのでなく、猶予期間に事業の見直しや改善する時間だと思わなくてはなりません。早期にリスケジュールを行うことで余裕を持ってデューデリジェンスで財務状況を把握し、次の有効な一手を探り出します。そして根本的に業務フローを見直し、効率化を高める手法、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が行なえ、再生に向けて施策が練ることができるのです。
リスケジュールの延長も一つの考え方ですが、猶予期間中に事業の改善を行い健全な経営体制に戻すことが事業再生の本来の目的です。
リスケジュール実行率82.3%以上、早めに申込みを
金融庁公表の「モラトリアム法に基づく貸付条件の変更等の状況」によると9月末時点でのリスケジュールの申込みは474,815件で390,738件実行され、54,097件が審査中、申込みは現在も行われています。この先資金繰りが厳しくなりそうであるのなら早めにリスケジュールの申込みを行い、営業利益が赤字である猶予期間中の企業は、まず営業利益を黒字にするために財務精査(デューデリジェンス)を行い、改善計画を立てる必要性があります。また、営業利益が黒字の企業も財務精査と改善計画によって利益の増大を図り、リスケジュール期間は期間満了後の毎月の元金・利払いに耐えられる体質強化期間と捕らえるべきでしょう。
セントラル総合研究所では、お盆休み明けから経営改善計画に必要なデューデリジェンス(財務精査)や事業再生に伴う不動産の相談が増えています。中には「もう1ケ月早く相談に来ていれば」と、より経営者の希望に近づけた再生案件もあります。悩まずにご相談はお早めに。
APECが終わり、日本の産業構造が大きく変わろうとしています。これをチャンスと捉え、事業を見直し新しい事業や市場にチャレンジしてデフレ脱出といきたいものです。
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[2010.11.17]
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