金融庁要請:新生銀行が消費者金融!個人向け新型ローン発売
消費者金融各社、業績の下方修正相次ぐ
消費者金融・武富士の破綻で、「いわゆる過払い金の返還」に備えて消費者金融は、今後の業績予想を11月に入り下方修正しました。アコムでは武富士破綻後、過払い金返還請求が急激に増え、今後の返還に備え引当金を積み増し、平成23年3月期の業績予想を262億円の黒字から509億円の赤字になる見込みと修正して発表しました。プロミスも同様に引当金や人員削除による経費などで平成23年9月期に33億円の赤字に転落、平成23年3月期の業績予想は一旦見送られました。一方で経営再建中のアイフルは平成22年9月期の業績を32億円の赤字から34億円の黒字に上方修正しましたが、過払い金返還請求の合理的算定が困難との理由で平成22年5月発表した平成23年3月期の業績予想を撤回しています。
メディアから消えた消費者金融業者
アコムの木下社長は、武富士の破綻に始まった過払い金返還の増加で「(消費者金融の)業界再編が起こる可能性がある」としました。そういえば、あれほどテレビCMを流していた消費者金融各社は、武富士破綻の後まるで身を隠すようにメディアから消えました。
新生銀行:総量規制を超えた個人向け無担保ローン発売!
金融庁では健全な消費者金融市場育成を目的に、金融機関(銀行)による個人向け融資の拡大を要請しました。これを受けて11月10日の報道によると新生銀行は、改訂貸金業法の総量規制によって借入ができなくなった利用者に対して、新たな無担保ローン商品を今年度にも発売すると報じました。金融庁によれば全国の消費者金融者数は平成22年9月末時点に2,828件で前年同月の4,909件から42.3%減の2,081件も消滅しました。大手のアコムやプロミスも貸出残高を大幅に圧縮。日本貸金業協会の統計では8月末の貸出残高は平成19年8月末から約8兆円も減少しました。
現実を変えた業界、利用者、橋下知事の熱血パワー
個人事業主は運転資金目的の、短期資金借入れ金融会社を失ってしまいました。やむなく高利の「ヤミ金」や「クレジットカード現金化商法」などに頼っているという現実です。金融庁では健全な消費者金融市場育成を目的に、金融機関(銀行)による個人向け融資の拡大を要請したのです。そういえば本年7月6日橋下知事が提案した「大阪資金特区」構想は、政府が10月14日最終回答で「特区、対応は出来ない」としました。今回の金融機関に対する要請は現実を知る業界団体や、利用者の声、橋下大阪府知事の熱血パワーが伝わったのでしょう。モラルのある消費者金融市場を創設してもらいたいものです。
新生銀行:武富士スポンサー選定に関与
新生銀行は平成16年より個人向けのノンバンクに注力し、消費者金融のレイクやノーローンを傘下に収め、消費者金融のノウハウを蓄積してきました。武富士の会社更生手続きによる再建でも新生銀行がファイナンシャルアドバイザーを務め、候補の約20社のスポンサーの選定をこれから行っていくようです。
審査対象:残高ではじかれて、返済能力ある借り手向け
新生銀行サイドでは「貸出し残高だけで、機械的に融資対象からはじき出された借り手が相当数いる」と判断し、「審査の結果、返済能力があると判定した場合、総量規制の枠を超えて貸し出す」と、個人事業者や中小企業向けとも受け取れる内容となっており、上限金利をレイク同様18%として消費者金融と同等のリスクをとって利用者の間口を広げていきます。また、貸出に関わる与信審査や信用保証、債権回収などはレイクが行なうとしています。
平成22年改善命令!頼れる銀行に変身
新生銀行は平成22年6月に公的資金注入で業務改善命令を受けたものの、その後の改善は進み平成22年上半期(4月~9月)168億円の黒字に上方修正しました。今後レイク、ノーローンの子会社2社を統合、経営を効率化していくようですが、これをきっかけに、中小企業融資に本格的に舵を切ってもらい、新銀行東京や日本振興銀行がなし得なかった零細企業経営者が駆け込める銀行となることに期待したいところです。
[2010.11.11]
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