変化の時代:『紙』から電子書籍、アナログから地デジ、東京タワーからスカイツリー
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電子書籍なら「読んでみたい」
読売新聞社が行った読書に関する全国世論調査によると、1か月間に1冊も本を読まなかった人は52%でした。読まなかった理由は多い順に、「時間がなかった」「読みたい本がなかった」「読まなくても困らない」などでした。
話題の電子書籍については、利用者の割合には昨年から大きな変化はないものの、「利用したことはないが、利用してみたい」は20~40歳代で前年より増加しており、電子書籍への関心が高まっています。
6割が「条件付き」で普及を予想
電子書籍の普及については「紙の本よりも読まれるようになる」19%、「紙の本と同じ程度で読まれるようになる」41%を合わせた60%が普及を予想しています。
普及の条件については、「紙の本より低価格で販売されること」26%、「使いやすい端末が発売されること」25%、「新刊がすぐに電子書籍化されること」12%、などとなっています。
総務省 電子書籍普及事業に予算拠出 規格統一への動き
総務省は27日、電子書籍の普及に向けた環境整備事業として10件を採択すると発表しました。データ規格の統一や検索用データベース構築関連事業に今年度予算で合計8億3,000万円拠出します。
規格の統一は、講談社など大手出版社41社が参加する日本電子出版社協会を委託先とします。シャープと電子書籍ソフト開発のボイジャーの2社が規格の無償提供を決めており、来年4月を目途に統一規格が利用できる見通しです。
現在は各社が独自の閲覧用端末・オペレーティングシステム・ソフトを開発しているため、ユーザーは自分の端末で読みたい本を閲覧できないなど、不便さがあります。
一昔前、ビデオの録画再生方式で「VHS」と「ベータ」のどちらを選ぶか迷った経験のある方も多いでしょう。この勝負は「VHS」に軍配が上がり、長期にわたって広く普及しました。
電子書籍においても規格が統一されることでユーザーの利便性が向上すれば、普及に寄与することは明らかです。
電子書籍は紙媒体の代替品にとどまらない
紙媒体の書籍に対する電子書籍の優位性を考えてみます。
①相当冊数の持ち運びが可能
先日発表されたiPhone OS 4では2,000冊以上の本が常時持ち歩けます。紙媒体では到底不可能です。
②安価にて入手可能
製本・流通コストはなく、販売コストも大幅に減るため紙媒体書籍よりも安価となります。普及が進めばより安くなるでしょう。
②理論的に品切れ・絶版がない
文化的価値ある書籍でも部数が伸びなければ絶版になりますが、電子書籍化されていれば半永久的に閲覧出来ます。
③音声読み上げ機能の活用
視覚障害者が点字本を用いず読書が出来ます。それ以外の人でも電車でラジオを聴くように「書籍を聴く」という新しい楽しみが増えます。
④拡大機能の活用
iPad のようにピッチイン・アウト(拡大・縮小)機能を使って細かい文字だけでなく、絵画や写真の詳細部分を閲覧出来ます。紙媒体の画集等では不可能です。
これらを考えて、電子書籍の普及はほぼ間違いないと考えます。
変化をどう捉えるか
新しいものが世に出るときは決まって批判を受けるものです。
パソコンや携帯電話が出始めた頃、多くの人が「自分には必要ない」と思ったでしょう。しかし広く普及し、使い始め、慣れてくると必要不可欠なものへと変わっていったはずです。
音楽ソフトがカセット・レコードからCDになり、ダウンロードデータへと進化したことで多くのレコード店やCDショップが廃業または事業転換を余儀なくされました。
紙媒体の出版物の売り上げが年々減少していく中、出版社・印刷会社・取次会社・書店がどうなるか想像出来ます。
音楽や書籍など、あらゆるコンテンツが「データ」として取引きされる、大きな流れがあります。デジタル化で一歩先を行く音楽業界を見習って、出版社・印刷会社・書店経営者はこの変化を予測し、生きるためのビジネスチャンスにしましょう。
[2010.10.29]
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