景気対応緊急保証(100%)終了!金融円滑化法(リスケジュール=返済猶予)延長か
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保証協会、緊急保証(100%保証)来春で終了
経済産業省は10月18日、景気対応緊急保証制度を平成23年3月末に終了する方針を決めました。緊急保証制度とは平成20年10月、リーマン・ショックを受け2億8,000万円を上限に保証協会の100%全額保証を受けられ、保証枠も36兆円に拡充されています。期間も当初は平成22年3月末で終了予定でしたが長引く景気低迷などから平成23年3月末に伸ばされました。
緊急保証は、融資を受けた企業が返済できない場合に信用保証協会(保証協会)が企業に変わって代位弁済(肩代わり)するもので、このまま継続すれば将来的に国民負担が増えるとの判断から平成23年3月末に終了が決まったようです。
終了しても1,250万円まで100%保証
終了によって中小企業の資金繰りには、日本公庫による直接融資の拡充や商工組合中央金庫など政府系金融への借り換えも積極的に行うとしています。また従業員20名以下の企業へは、1,250万円を上限100%全額保証が継続するとしています。
36兆円の保証枠に16,8兆円の承諾額
保証は協会の保証がなくなるわけでなく、100%から80%を限度に受けられます。今まで通り保証協会は融資を受ける企業から保証料を受け取り、債務の80%を保証することになります。
帝国データバンクによると新保証制度(80%)が開始された平成20年10月~平成21年12月まで承諾件数は89万7,882件で全国の中小企業数4,197,719社(平成21年中小企業庁・中小企業白書参考)の21.4%がしか利用していないことになります。
わずか2割の中小企業だけが利用している保証協会に36兆円もの保証枠がありながら承諾金額は16兆8,373億円と保証枠の46.8%と半分にも満たないのです。
代位弁済6,505億円
社団法人信用保証協会連合会(東京都千代田区神田司町2-1 会長:横山洋吉)によると、平成22年1月~8月の信用保証の実績での保証承諾額は前年同期比-36.3%の9兆135億9,600万円まで落ち込み、代位弁済率は7.2%に当たる6,505億7,300万円と前年同期比の5.3%を上回りました。
企業の資金需要の減少により保証承諾額が減り、また金融機関などへ返済できなく企業の割合が増えたことになります。この6千億円を越える代位弁済額の回収が見込めなければ、いづれ税金の投入となります。
代位弁済/22年は減少の傾向、東京信用保証協会で34%減
代位弁済額はここ数年増え続けてきましたが、政府の金融支援である緊急保証と中小企業金融円滑化法(返済猶予=リスケジュール)の金融支援の効果で平成22年は減少の傾向にあります。
平成22年4月~9月の期間、代位弁済額は東京信用保証協会で前年同期比34%減で、とくに不動産業が61%減と大幅に改善されています。長野では38.1%減で「金融機関がより積極的に条件変更に対応している」と長野県信用保証協会では見ています。
緊急保証、中小企業金融円滑化法とともに平成23年3月末に終了しますが、自見金融相は10月13日、衆院予算委員会で「円滑化法について来年3月の期限延長も視野に入れ取り扱いを検討する」と考えを述べました。効果のあった金融政策が2つ同時に終了となれば中小企業に多大な影響が懸念されたのでしょう。
緊急保証は段階的措置を・・・
緊急保証は保証を100%から90%、そして80%など段階的な措置をとるなど再検討を考えるべきでしょう。平成23年春になったら倒産件数増加に代位弁済増加と円高、デフレではせっかくの日銀の金融緩和も効果ありませんよ。
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[2010.10.20]
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