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倒産増加説はホントか?モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)間もなく終了!

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倒産件数:13ケ月連続減少
中小企業金融円滑化法(猶予期間=リスケジュール)が施行されて10ケ月経ち、時限期日の平成23年3月まで残り半年となりました。帝国データバンクによると企業の倒産件数は13ケ月連続して前年同月比が減少、亀井元金融相が半ば強引に通した法案の効果が見られます。
101013_1.gif平成22年9月の企業倒産は943件、負債総額は1兆3,705億9,800万円で前月比709.9%となりますが、負債額トップの日本振興銀行6,805億6,300万円と、武富士の4,336億800万円が2社のみで負債総額の81.3%を占めていますので中小企業にとっては悲観的な数字ではありません。

業種別:建設業、主因別:不況型
業種別では建設業が31.3%増と目立ち、主因別では不況型倒産が788件と全体の83.6%に上りました。平成22年度上半期(4月~9月)の倒産件数も5.751件に減少、3年ぶりの5.000件台にとどまりました。モラトリアム法や景気対応緊急保証、エコカー補助金など経済支援の効果が大きかったようです。

リスケジュール申請の9割が中小企業
9月の景気DIは32.7ポイントで2ケ月連続悪化、為替介入など金融緩和でも円高はとまらず、輸出産業に大打撃を与え、国内企業にも影響が出ています。リスケジュールが終了する企業が増える今年の下半期、事業計画書による事業改善や、財務再構築が実行されていなければ倒産増加の可能性が見えてきます。
101013_2.gif10月12日発表された東京商工リサーチの平成22年6月までのリスケジュール実績調査(対象:大手8行、地方銀行63行、第二地銀42行、信託銀行9行、ネット銀行他7行、信用金庫91金庫)では、申込件数59万7,769件で金額は17兆6、901億2、100万円に達しました。この内88.8%にあたる53万1、200件、金額では構成比80.2%の16兆6,648億1,700万円が中小企業(個人事業含む)でした。

自ら経営改善戦略を構築
モラトリアム効果でリスケジュールした企業は、猶予が得られ資金調達と同等の効果を得る事ができます。しかし、猶予期間が終了すれば、コストカットや業績が上がるなど黒字経営に改善されない限り、再び資金繰りに負担がかかってきます。デューデリジェンスキャッシュフロー経営へのシフト、BPRなどリスケジュール後の具体的な対応をしなければ単なる倒産の先延ばしに過ぎません。
景気対応緊急保証制度、モラトリアムといった経済支援策を打ち出し十分な効果も発揮しました。ところがリスケジュール終了後の救済型法案はいまだ発表されていません。企業はエコカー補助金終了のときのように、自ら値引き販売するなど生き残る戦略を見つけ出す事が必要になってきています。

デューデリ後、C/F経営で黒字決算
中小企業の倒産は大企業と異なり、経営者自身が債務の保証になる場合が多く、倒産したら債務はすべて経営者の肩にのしかかってきます。社会的な影響が多いとされる大企業の経営者は原則債務の責任を取らず、中小企業以下の経営者は個人での責任を追うという不公平な社会が現状なのです。
中小企業にとって事業の改善は、販路・市場開拓、競合企業や異業種との合併など、そう簡単にはできません。まずは経営悪化になった要因を探りましょう。そこから事業改善の芽を見つけ出すことが、今すぐにできる事なのです。デューデリジェンス、キャッシュフロー経営によって財務が改善され、黒字決算となり新たに融資を受けた企業もあるのです。早めの行動と、これからのタスクを明確にして、黒字決算を迎えましょう。リスケジュールをしても取引き金融機関は中小企業を簡単には見捨てませんよ。

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[2010.10.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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