海外生産比率:円高で増加、トヨタ日産過去最高、ホンダ70%将来の姿は?
主要製造業、海外生産比率の引き上げ
トヨタや日産の海外生産比率は通年で過去最高、ホンダも70%を突破する見通しです。
また村田製作所は13年3月期までに30%程度(現在は15%)に引き上げ、富士電機ホールディングスは12年3月期までに40%(10年3月期は25%)程度に高めるそうです。海外企業の買収によるグローバル化も目立ってきました。日本電産は生産拠点をバランスよく分散して為替変動の影響を最小化する目的で、アメリカ電機大手エマソン・エレクトリックのモーター部門を買収するそうです。
最近の円高は日本企業にとって海外企業買収のチャンスとなっており、海外生産比率をさらに加速させます。海外生産拡大は円高に対する対応力を強めますが、生産そのものが増えない中では国内産業の空洞化を引き起こす根本原因となります。
外資系企業、日本市場を見据えた拠点を拡充
報道されている「外資系企業の日本拠点戦略調査」によると回答企業の6割強が2~3年以内に日本拠点の業務や人員の拡大を検討しているそうです。IT・サービス・金融・医薬品などの業種を中心として日本市場に開拓の余地があると見ています。中でもインドのIT大手3社によるを大幅な増員予定は目を見張るものがあります。
一方、異常に高い法人税率や日本人の英語力不足、国内の閉鎖的な商習慣などが障害となるとして是正を求める意見もありました。日本企業は円高の影響で海外へ流出し、外資系企業がその空洞を埋めていくというおかしな構図が見えてきます。
日本型企業にも国際化の波
クロネコヤマトで知られるヤマトホールディングスは、国内でしか成り立たないとされてきた宅配を中国とシンガポールで始めました。一人あたりのGDP(国内総生産)の伸びを検討して事業として成り立つと判断です。日本の10倍である中国の人口を考えると10年後は数量ベースで日本に並ぶと予想しています。
伝統産業職人たちの拡販戦略
東京都葛飾区の「伝統産業職人会」はIT関連企業と共同で、アメリカのネットオークション大手の「イーベイ」が運営する通販サイトで伝統工芸品の販売を始めました。これまでは国内での販路拡大に取り組んできましたが、伝統工芸品のブランド価値が高い海外への販路拡大を、との提案があり今回の進出となりました。伝統工芸も生産拠点は海外になるかもしれません。
新たな戦略を立てるにあたって
これからは今までの考え方を変えなければ生き残れません。新たな展開を考えるにあたって必要なことは、現在自社の体力・知力・資力がどの程度かを正確に把握しましょう。変動する国際為替の中での自社の力をはかり、周辺や業界から情報を収集し、提供する商品やサービスの需要は将来どうなるのか見極めましょう。その上で主要製造業と同じ海外拠点の波に乗るか、あくまで内需一辺倒に絞るのか、またはダブルスタンダードで行くかを判断して下さい。近々あるインフレの際に会社のあり方を見極めるチャンスにしてください。
[2010.9.25]
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