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都心の地価底打ち、地方は下落とまらず。

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都心部と地方で明暗
100922_2.jpg下落一辺倒だった地価に、都心部で下げ止まりの兆しが見え始めました。
今回下げ幅を縮小したのは東京圏・名古屋圏などの都心部で、地方では前年相当の落ち込みが続いており、過去1年で地価が上昇または横ばいとなった地点は全体の1.5%に過ぎません。
また大規模・設備充実のオフィスビル、人気エリアの5千万円以上の高額マンションは動き始めていますが、2千万円から4千万円クラスのいわゆる「大衆物件」までには波及していない状態で、本格的な回復となるかは不透明です。

投資マネー戻る
2010年上半期からメガバンクの姿勢が変わってきています。対象物件の賃貸・売却収入を返済原資にするノンリコースローンを主力商品とし、優良物件探しに動いています。
中堅マンション開発業者にも融資が付き始め、用地取得に乗り出しています。REIT(リート、不動産投資信託)各社も動きはじめ9月までで昨年の1.8倍(金額ベース)の収益物件を取得しています。
不動産が動き出すと銀行の不良債権処理が進むと見られており、貸し渋りが和らぐ可能性も出てきます。

油断は大敵
注意したいのは、地価下落が続く原因が解決されていないことです。
1つ目は円高です。買い手と期待される外国資本ですが、国内の不動産価格が下がっていても円の価値が上がっているため外貨建ての価格は下落が小さく、外国人投資家にとっては割安感に乏しいです。
2つ目は不動産取引の透明性の低さです。日本の手数料や税制の分かりづらさなどが投資魅力を減らしています。
3つ目は供給過多です。東京都心部ではオフィス空室率が9%を超え過去最高を更新しているにも関わらず、2012年までに大規模オフィスビルの大量供給が続きます。
オフィス供給過多は賃料下落を招き、建物価値下落を招きます。都心部のオフィスが増えると都心部周辺のオフィス需要を吸い上げ、その地域の地価下落を引き起こしています。
地価下落が止まり、反発の兆しとして金融緩和が効果を表し、インフレ傾向が一つの転換点となる可能性はあります。しかしまだまだ弱含みなので期待は出来ません。

相続・贈与の検討を
地方の不動産は下げ止まりの兆候がまだ見えていません。不動産業の方は所有不動産の価格動向と、近隣都心部の両方を引き続きウォッチしてみて下さい。入居率や地価のターニングポイントをつかめるかもしれません。
都市部の不動産をお持ちの方は、インフレ誘導で近いうちに地価が下げ止まる可能性があります。同時に相続税制の変更が不動産業界を賑わしています。相続・贈与を検討されている方は今のうちに具体的なシミュレーションを始めると良いでしょう。

変化の兆し
総じて何かが変化しようとしている感じをうけます。データ基づく理論的な判断ではありませんが、今年前半のインフレ誘導政策は、地域経済や不動産に姿を変えて現れようとしています。タイミングを逃さない様に判断しましょう。

[2010.9.23]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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