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政府主導:日本のお家芸、金型成形技術を保存へ

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生き残りをかけ政府の後押しで統合
100920_1.jpg報道によると自動車用部品の群馬県と静岡県の金型成形の中堅企業2社が、政府主導のもと、経営統合を検討していると報じました。「ものづくりの基礎を守る」ための経済政策がより具体化されたとともに、ようやく政府が動き出したという感があります。金型成形と言えば日本のお家芸とも言え、その高精細さで日本独自の技術はボーイング社やNASAから発注がくるほどです。近年、中国をはじめとする新興国の技術進歩により、生産コストの安い新興国へ注文を奪われた企業をこれ以上増やしてなるものかという期待していた経済政策です。
経営統合が決まれば国の認可法人、株式会社企業再生支援機構(東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル 西澤宏繁代表取締役社長)が出資し、経営基盤を強化し2社の最先端 技術の開発や海外販路拡大を目指す事になります。日本のものづくりを支えてきた金型産業の再編が政府主導のもと動き出します。ぜひ2社には経営統合を結んでもらいたいものです。

日本独自の技術が消滅も
平成20年、リーマンショックによる世界的な自動車産業の落ち込みは、金型成形企業も同様、国内外の自動車メーカーからの受注が急減しました。さらに追い打ちをかけるように新興国での技術向上によって米車メーカーからの受注も奪われ始めてきていました。
金型成形中堅企業の2社は、国内では2位と3位であるものの、長い景気低迷による受注減から両社ともリストラや債務超過という苦い経験を経て現在に至りました。経済産業省では自力再建には限界があると判断、企業再生支援機構を活用した支援に踏み切ったようです。金融機関での貸し渋り、貸し剥がし、リストラを伴う大幅なコストカットと、このまま政府の支援がなければ2社とも倒産、技術の消滅もあり得たことでしょう。

目的は中小企業の取組み促進
中小企業庁では、ものづくり基盤技術の高度化に要する研究開発から試作段階までの取組促進の目的に「戦略的基盤技術高度化支援事業」を行っています。平成22年3月1日から4月22日までの期間に募集があり「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」により「研究開発等計画」の認定を受けた企業からの計画申し込み977件に対し、採用された計画は308件(31.5%)でした。高度なものを要求しているのか、基準が厳しいのか少し敷居が高い気もします。先着順では仕方がありませんが、審査があるのなら8~9割が採用とならなければ「支援事業」にはなりません。計画が審査通過できるような計画書づくりの指導も工夫が必要でしょう。

政府、大企業から中堅支援へ
代表選終了後は、経済政策、金融支援を大企業から中堅企業までにも視野を広げてくれたと見ていいのか、判断はすぐには出ませんが、この中堅企業2社の統合から製造業の産業の再編に規制の緩和、商習慣の変更、そして経済政策、金融支援をお願いしたいところです。
中堅企業が潤えば、さらなる設備投資や研究開発などによって新たな雇用や技術向上の強化が図れ、その技術が下で待ち受ける中小企業の発展にも繋がってきます。陽の目をまだ見ぬ優れた技術を眠らせるのはあまりにもったいない話です。政府の後押しに新たな技術が世に出て、世界を相手に活躍していきましょう。

[2010.9.20]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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