ソニー×オリンパスが共同出資:ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ/4K内視鏡を開発。医療分野に切り込み!
画像センサー技術と内視鏡のコラボレーション
成長産業である医療分野へ、異業種大手からの新規参入が目立っています。音響・家電メーカーの「ソニー」は、最先端の4K映像で患者の患部を撮影できる、外科手術用の内視鏡を開発しました。この分野で屈指の「オリンパス」と2013年に合弁会社を設立後、初の製品です。着実に新分野に乗り出す姿勢は、ソニーの構造改革と呼ぶほうがふさわしいかもしれません。
4K画像は、テレビやカメラに詳しい人ならご存じかもしれません。簡単にいえば、ハイビジョンの2倍も細かい画像です。新製品は、内視鏡で国内シェア1位のオリンパスが持つ技術と、暗い場所でも鮮明に撮影できるソニーの画像センサーの技術を組み合わせました。細い血管が見分けやすくなれば、ことに高難度の手術で、手術時間の短縮や安全性の向上が期待できます。
戦後を代表する名門企業が賭ける構造改革
両社とも、経営環境は万全ではありません。ソニーは、テレビなど家電事業の不振が影響し、15年3月期までの5年間で、税引き後利益で計9000億円以上の赤字を計上しました。ウォークマンで世界を席けんしたのは、過去の話です。オリンパスも、粉飾決算の発覚で経営が悪化し、ソニーから約500億円の出資を受けています。筆頭株主になったソニーは、今年4月、その株の半分をJPモルガン証券に売却しました。売却益は468億円とされます。今回の開発も含め、医療分野へ進出するための資金ねん出の意図もあったのでしょう。
ソニーには、画像センサーのほかにも、ゲーム事業など利益率の高い部門があり、業績もやや回復しています。画像センサーを成長の柱とした多用途化は今後、いっそう進むでしょう。これは、もはや、構造改革です。改革は「痛み」を伴いますが、社員が力をあわせ、荒波を乗り越えていけるか。日本の戦後を代表する名門企業だからこそ、頑張ってほしいですね。
[2015.10.1]
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