iPS細胞:理研、京大iPS細胞研、阪大、神戸市立医療センター4機関がタッグ、「iPS細胞ストック」を使って目の難病治療
医療で活用に向けた「iPS細胞」の研究が、また一歩、階段を上りました。
理化学研究所(埼玉県和光市 松本紘理事長)など4機関が、iPS細胞で、目の難病である「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」の治療を目指す臨床研究を再開すると発表。来年前半にも手術を行います。
iPS細胞から細胞シートを作り移植
この病気は、齢を重ねるとともに、網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積したことで起こります。視力が低下し、映像の中心部がゆがんで見えたり、その真ん中が黒く塗りつぶしたように見えなくなったりし、失明するケースもあります。研究では、iPS細胞から作った網膜色素上皮細胞のシートを移植します。
他人の細胞、「iPS細胞ストック」を使う
平成26(2014)年の初回手術は、患者自身の細胞を材料とした細胞を使い、成功させました。2例目となる今回の違いは、山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所長)の発案のもと、京都大学が整備を進めている「iPS細胞ストック」、つまり、他人の細胞を使って実施されます。
多くの患者に移植できる特殊なタイプのiPS
細胞を厳重な品質管理下で備蓄したもので、これを利用することで、免疫による拒絶反応が起こりにくい治療の、費用や期間が抑えられるなどの効果が期待されます。
タッグを組み役割分担を明確化
理研と京大iPS細胞研究所、大阪大学、神戸市立医療センター中央市民病院が共同で記者会見を開きました。移植手術や診療は、阪大と中央市民病院が担います。
4機関は5月30日付で、臨床研究の実施で協力するとの協定書を締結しました。関西の主要機関がタッグを組み、役割分担を明確にしたプロジェクトチームです。
「組織をあげた協力関係」を作りにくいのは日本の伝統的な悪弊であり、その壁を乗り越えてほしいとこりです。学術的にもビジネスモデルとしても最先端を走ってほしいと願います。
[2016.06.17]
iPS細胞:
正式名称は「人工多能性幹細胞」。
皮膚や血管などの体細胞に特定の遺伝子を数種類導入することで、さまざまな細胞に分化できる万能性を持たせた細胞のこと。
再生医療、創薬研究などでの活用、応用が期待されている。読み方は「アイピーエス細胞」。
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