iPS細胞を使ったアレルギー治療薬の開発がスタート。再生医療関連事業が着実に進歩
創薬ベースとなる細胞をiPS細胞で
国が重点的に取り組む「医療イノベーション」9分野のなかで、iPS細胞を使った「再生医療関連事業」が、一歩ずつ進んでいます。医療研究の司令塔である国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」は、この分野に170億円の予算を計上。創薬のベースとなる細胞づくりが活気づいています。
iPS細胞の強みは、さまざまな病気にかかわる希少な細胞を人工的につくることができること。その細胞に薬の候補物質を加え、次々に試していくことで、効き目のある薬を開発します。現在、iPS細胞に期待されるのがこの役割。創薬の対象は大きな市場が見込まれる認知症やアレルギーなどにも広がっており、研究開発はまずまず順調といえるでしょう。
アレルギー反応を引き起こす細胞も作製
たとえば国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」は、花粉症やアトピー性皮膚炎を起こす免疫細胞をiPS細胞から作製しました。花粉などと反応し、鼻水や目のかゆみ、皮膚炎などのアレルギー反応を引き起こす細胞を、人工的につくりました。5年後をめどに作製技術を確立させ、創薬に向けた研究を製薬企業に引き継ぎます。日本人の3人に1人はこの2つに代表されるアレルギー疾患を抱えており、治療としても産業としても期待されます。
「理化学研究所」と「広島大学」も、体が動かなくなる病気「脊髄小脳変性症」の原因究明に使える細胞の作製に成功しました。患者は国内に2万人で、高齢化が進むなか急増するとみられます。ちなみに、認知症の高齢者は2012年時点で約460万人、25年には700万人になる見通しです。
[2016.4.7]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: iPS細胞を使ったアレルギー治療薬の開発がスタート。再生医療関連事業が着実に進歩
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/2489
コメントする