農業の現場に広がるICT活用術:経験、勘をクラウドで共有、生産性高める
農家の経験や勘を「ノウハウ」として
進化を続ける情報通信技術(ICT※)の活用が、農業の現場を変えることは間違いありません。優れた農家が長年かけて培った経験や勘も、データに置き換えれば、ノウハウとして共有できます。国の基本である農業全体を支えるため、その可能性に期待が集まっています。
「あぐりログ」でどんなデータも一目瞭然に
愛知県とベンチャー企業のIT工房Z(アイティコウボウジー/(株)IT工房Z:愛知県名古屋市 座光寺勇社長)は、共同で、測定器「あぐりログ」を開発しました。縦横各20センチ、幅10センチほどの白い箱形。スマートフォンやタブレット端末に、簡単につなげます。画面では、野菜の品質を大きく左右する温度や湿度、二酸化炭素(CO2)濃度が、赤や青色の折れ線グラフで示されます。生産量の多い農家のデータでも、一目瞭然の分かりやすさです。
6万8000円から導入できるクラウド
インターネットを使ったサービスを提供するセラク((株)セラク:東京都新宿区 宮崎龍己社長)も、同様の測定器「みどりクラウド」を開発し、温度、湿度、日射量などのチェックのほか、カメラの撮影機能も加えました。導入コストは8万9000円から。無線LANが使える環境なら6万8000円から設置でます。
携帯で記録するシステムなら月4万から
富士通(富士通(株):神奈川県川崎市 田中達也社長)も、水まきや肥料やりなど、その日の農作業を携帯端末でクラウド上に記録する農業支援システム「Akisai(あきさい)」を、月4万円からの価格で販売しています。
ベストの生育環境データが共有される世界
ベストの生育環境のデータがICTで共有されれば、日本の農業の質はさらに各段に向上するでしょう。経験と勘に頼っていた世界が、変わります。それを個々の農家がよしとするか、国としてどう考えるか。重要なことだけに、しっかりとしたコンセンサスを築きたいものです。
※ICT=Information and Communication Technologyのことで、情報処理や通信に関する技術の総称。日本では「情報通信技術」と訳される。
●関連記事:「日米TPP交渉は合意?豚肉、牛肉輸入規制の一部緩和を報道、農業はIT活用で攻勢」[2014.5.10配信]
[2016.12.30]
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