第5期科学技術基本計画まとまる。GDP600兆円達成のために日本が進むべき道は何か。
GDP600兆円達成のために
政府の「総合科学技術・イノベーション会議」(議長・安倍晋三首相)が、2016年度から5年間の「第5期科学技術基本計画」をまとめました。総額で26兆円を投じます。安倍政権は、20年の目標として、名目国内総生産(GDP)600兆円の達成を掲げました。科学技術の発展とイノベーションはその実現に不可欠ですが、どこに軸足を置くかが重要な判断になります。
計画は、16年1月にも閣議決定します。「世界は大変革時代を迎えつつある」という認識は、その通りです。ITで工場内外の生産効率を高めるドイツの「インダストリー4.0」など、情報社会の次の国家像を模索する研究開発が、欧米だけでなく新興諸国でも活発化しています。成長を国家の命題とするなら、競争に取り残されてしまえば、国の未来はありません。
照準を見定めて得意分野を狙う
さて、広大な科学分野の中から、何に絞っていくか。日本が狙うべきは、ITやロボット技術をいかした試みでしょう。世界が超高齢化する中、介護ロボットや見守りロボットと、人工知能(AI)がネット上でつながる「IoT」など、日本の得意分野を伸ばす戦略が期待されます。企業と大学、研究所などが溝をつくらない「産学連携」も強化する必要があります。
この計画を受けたノーベル賞受賞者たちの緊急提言が印象的でした。天野浩氏、赤崎勇氏、田中耕一氏、利根川進氏、野依良治氏の5名が安倍首相を訪ね、「明確な5ヵ年の研究開発投資の目標設定と、関連施策の推進」を強く訴えました。官僚のこれまでの仕事ぶりに危機感があり、国がバラバラなゆえ世界から遅れていくことの怖さを、彼らは肌で知っているのです。
[2016.1.15]
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