国内総生産(GDP)統計の大改革はじまる。今後14年かけ欧米の手法へ
GDPのガラケー化が起きていた
ガラケーという言葉があります。「ガラパゴス・ケータイ」の略で、世界のモバイルやIT(情報技術)技術とは別に、日本独自の進化を遂げた日本製携帯電話のことです。先進的な技術や機能がありながら、海外で普及しませんでした。なんと、経済の再重要指標である「国内総生産(GDP)」の統計でも、ガラケー化が起きており、平成29(2017)年度から30年度にかけて見直されます。
14年をかけて欧米の手法にチェンジ
GDPは、モノやサービスなどの国内で生み出された付加価値(儲け)を示します。戦後一貫して使用してきたその統計手法を、14年かけて、欧米先進国が導入している手法にそろえる大改革です。国の統計改革推進会議(議長・菅義偉官房長官)が、旗振り役を務めます。
工場や店ごとに、より精緻なデータを
日本のこれまでの統計が、粗かったというわけではありません。日本は「産業連関表」と呼ばれる基礎統計を使って、GDPを計算してきました。1年間に、部品などをどのくらい使って生産し、どの程度売れて付加価値(儲け)が生まれたかを表にします。今回改める米欧流の統計は、「供給・使用表」と呼ばれる方法で、工場や店ごとに、仕入れから生産・販売までの流れをより精緻に調べ、付加価値を計算します。
精度が上がる=GDPが増える?
従来の統計では、日々進化するIT産業の実情や、複雑な経済の流れを捉え切れなくなっていたのは事実です。改革により、統計の精度があがってGDPが増えるとの見方と、事業者の負担増を懸念する声とが交錯しています。
サービス業の補足が可能性を広げるか 安倍政権は名目GDP600兆円を目標に掲げており、そのための改革の一環です。変化の激しいサービス業の補足がうまくいけば、経済規模の数値が広がる可能性があります。それ以前に、経済がグローバル化するなか、基準を国際的にそろえるのはやむを得ない時代なのでしょう。
[2017.4.24]
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