EUが福島県産食品の輸入規制を一部緩和。台湾にも緩和の兆しアリの一方、韓国は......。
検査証明書の添付を一部緩和へ
東京電力福島第一原発事故から、4年9か月。世界に広がった福島県などの食品の輸入規制が、少しずつですが動いています。欧州連合(EU)は11月、福島県から輸入する全食品に義務づけていた放射性物質の「検査証明書」の添付を、一部に限り緩和する方針を決めました。福島産以外の食品にも緩和を広げ、年内にも実施します。台湾にも緩和の兆しがあります。
EUが「検査証明書」の添付を解除するのは、福島産の野菜、柿を除いた果物、畜産品など。岩手と宮城、栃木、茨城、群馬、千葉の6県のコメや大豆、秋田と山形、長野の3県のワラビも対象から外します。一方、福島産のキノコやコメ、水産物の一部は規制を維持します。福島産の流通米から放射能は検出されておらず、回遊魚なども同じ。世界的な「風評被害」の根強さを感じますが、まずは、野菜などが輸出しやすくなることを喜びましょう。
政治問題と一緒にしている韓国
日本産の食品を巡っては、韓国や台湾などが輸入規制を行っています。台湾は11月、輸入規制解除の要望に訪台した栃木県知事に対し、早期解除に前向きな意向を示しました。群馬、栃木、茨城の3県は、青果物をシンガポールへ海上輸送し、現地の百貨店でテスト販売を始めました。農業を守るために行政側も懸命ですが、完全な信頼回復にはまだ時間がかかりそう。
問題は、韓国ですね。2013年9月から、福島など8県産の水産物を禁輸したままです。日本は2国間協議で規制撤廃を求めたが、歩み寄りがなく、「輸入規制は、科学的根拠がなく不当」と世界貿易機関(WTO)に提訴しました。しかし、1審にあたる紛争処理小委員会(パネル)の設置自体にも韓国が反対し、折り合えないままです。政治問題とゴッチャにされているのです。
[2015.12.17]
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