Amazonの新商品は「お坊さん」。宗教が日常から離れている今、仏教界にも一石を投じる。
「お坊さん」をワンクリックで注文
インターネット通販大手「Amazon」が2015年12月、「お坊さん」を"商品"に加えました。四十九日や一周忌などの法事の際、僧侶を手配できます。注文はワンクリックで行い、お布施はクレジットカードで決済。全国どこでも手配が可能で、訪問のみなら料金は3万5000円。日常からお寺とのつきあいがあるのが理想ですが、そうではない現実を受けたビジネスです。
手順は、こんな感じです。Amazonの商品ページにアクセスし、「法事法要手配チケット」を購入する。関連企業からメールが送られてくる。日時や地域、宗派、連絡先などを確認し、返信。僧侶が確定し、「僧侶手配書」が届く。その僧侶から確認の電話が入る。手配書通りに僧侶が来る。1万円のオプションで、墓前など指定した場所で法要をしてくれるプランもあります。
Amazonは僧侶の質を十分に担保できるか
利用者からだけでなく、僧侶からの登録依頼や問い合わせも多いそうです。お寺は基本的に檀家さんのお布施で成り立っており、法事の簡素化が進む中、僧侶の仕事は確実に減っています。地方では、墓の面倒がみられず、都会に移転させたり、「墓じまい」をして寺と縁を切ったりする世代も出てきました。Amazonのサービスは、利用者にも僧侶にもメリットがあります。
宗教が日常から解離してしまい、こうしたビジネスでしか接点を持てないことは、個人的には残念に思います。当然、仏教界から批判は出るでしょうが、仏教界にも「葬式仏教」に甘んじてきた反省があるはずです。要は心の問題ですから、どう利用するかは、当事者次第。ただし、Amazon側には、僧侶の質を十分に担保する責任があります。心は"商品"ではないのですから。
[2016.1.9]
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