中国が主導する国際開発金融機関『AIIB』が正式発足。本音とタテマエを見極めると......。
方針や内容が不透明ななかでの投資?
中国が主導する国際開発金融機関「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」が正式に発足し、今年1月、北京で、第1回総会や理事会が開催されました。ドイツ、英国、韓国など参加国57か国でのスタートです。初代総裁の金立群氏(元中国財務次官)は、日本の参加を切望しています。しかし、運営方針や活動内容などが不透明な現状では、不参加が賢明と思われます。
中国がAIIB構想を提唱したのは、2013年10月。すぐさま20か国と設立合意書を交わし、その後の展開もスピーディでした。設立目的を要約すると、アジアの新興国・途上国におけるインフラニーズは高い。しかし、既存の国際金融機関は欧米諸国に主導され、その意向が強く反映されて必要な改革ができていない。よって、新たな国際機関で各国間の物理的な連結性を強化し、経済発展を支援する――という内容です。
インフラ投資でアジア諸国を取り込む目論見
アジアの経済は急成長しており、その発展を支えるには、毎年7500億ドル(約90兆円)のインフラ投資が必要と言われます。ただし、それを主導しようとする中国には、国際通貨基金、世界銀行、アジア開発銀行など既存の国際金融秩序への挑戦という以上に、インフラ投資によってアジア諸国を取り込み、陸も海も含めた中国の勢力圏を広げようという思惑が見え隠れします。米国も、それを警戒しています。
AIIBが予定する法定資本金1000億ドル(当初は500億ドル程度でスタート)は、大きなインパクトです。しかし、運営方針も詳らかにせず、債券の信用度「格付け」も得ないまま、国際的に資金調達を行うのは、ある意味、傲慢。全くリスクが測れない金融機関に、安易に同調はできません。
[2016.1.23]
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