薄れるレアアース市場での中国シェア97%主導権!進む世界各国の発掘・加工技術、代替え物質の技術開発
米国防総省元顧問:「中国が主導権を握り続けることは難しい」
英紙フィナンシャル・タイムズは10月21日、米国防総省の元顧問の発言を引用し,中国が希少土レアアース市場の主導権を握り続けることは難しいとの見方を報じました。スマートフォンやハイブリッド車、ミサイルなど先端技術に必要不可欠なレアアースは、平成22年まで中国が世界のレアアースの97%を供給。同年には、中国がレアアースの輸出を制限したことでレアアース価格は急騰しました。
レアアースは中国以外での採掘や、レアアースに依存しない代替え技術が進み,中国のレアアース市場における発言権も縮小しました。
米モリコープ、豪ライナス社,仏ロディア3社で供給乏しい重レアアース抽出
米モリコープは、カリフォルニア州の鉱山でレアアースの生産を再開し,豪ライナスは、日本政府が支援しマレーシアに加工工場を開設。仏ロディアは、両社から供給される鉱石から供給が乏しい重レアアースを抽出。経済性が高くなれば中国以外の重レアアース生産は増える可能性があります。
中国も,重レアアースの輸出制限は完全な効力を発揮せず,小規模な生産業者が当局の目を盗み他国に輸出しているのが実態です。
日米共同で代替え物質の生産,工場を建設
一方,レアアースニーズを減らす技術も進み,高度な磁石の添加物であるジスプロシウムは、レアアースの使用量を大幅に削減できます。日立や三菱商事,大同特殊鋼、米モリコープの合併会社は、ジスプロシウムの使用量が少ない磁石を生産する工場を建設しています。
世界の供給量に対する不安が薄れるとレアアース価格は急落。豪ライナスによると酸化ランタンの場合,平成21年に1キロ16.26ドルでしたが今年は同3.24ドルにまで急落しました。
物質・材料研究機構:代替え技術を開発
日本では,物質・材料研究機構が10月20日、使用するレアアースが少なく従来のネオジム磁石より強力な新物質を開発したことを発表。ネオジム磁石は昭和57年に開発以来、これ以上の強度を持つ磁石の開発はできないといわれたものの、同機構が開発した磁石物質は、全温度域でネオジム磁石を上回り、耐熱性も向上しました。
実用化には、粉末の大量製造や磁石の形に固めるなどプロセスを開発する必要があるものの、32年ぶりの磁石開発は新たな技術の可能性を開きました。レアアースの発掘、加工技術や代替え技術など意地悪な輸出制限をすれば世界は跳ね返す技術力があることを証明しました。
●関連記事:「中国のレアアース輸出規制、WTOの裁定は日米欧の勝訴!進むチャイナリスクへの対応」[2014.8.23配信]
[2014.10.31]
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