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税制改正効果!日本企業海外で稼いだ利益95%を国内へ還流:国内で研究開発、投資、雇用創出

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内閣府統計:海外現地生産比率、4年後には2割に増加
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長引く円高や、震災による生産リスクの抑制に海外進出を検討する企業が急増しています。内閣府の統計によると日本企業の海外現地生産比率は、平成7年の8.1%から昨年はその9倍の18%で過去最高となり、平成27年には21.4%まで増加すると予測しています。日本企業の海外進出は、自動車や電機・電子産業を筆頭に主要製造業にも波及しています。さらに円高傾向が続けば企業の営業減益幅は広がり、業績圧迫は必至です。
脱原発の影に翻弄される産業界、節電では事業が維持できない
無策状態の政府は、「脱原発」に振り回され、国内を混乱させる議論が続き、産業界には政府失望感ではち切れそう。国会では、TPP(環太平洋経済連携協定)などの貿易自由化や、法人税減税などは話題にものぼらなくなりましたが、一刻も早く、規制緩和や特例措置、法改正など、産業が直面する危機的状況の支援策を具体化することを求めます。

海外の日本企業、現地保有残高額17兆円にも
財務省の国際収支統計によると、平成22年度(平成22年4月~平成23年3月)の日本企業の海外子会社の利益は3兆2,700億円となり、その95%に当たる3兆1,200億円が国内に還流されています。平成21年4月に行われた税制改正は、海外子会社から受け取る配当の95%を非課税扱いとし、海外利益の95%は法人税の非課税扱いになりました。海外子会社が稼いだ利益を国内の親会社へ配当金の形で戻しているのです。

たくましい日本企業:海外で稼いで国内投資95%
日本の海外現地法人が現地で内部保有する残高は、平成17年度に約12兆円、平成18年度には約17兆2,000億円と積み上がって内部保有され、主に現地で再投資されていました。しかし政府の優遇税制の緩和措置によって、国内への還流比率は平成20年度まで50~60%でしたが、平成21年度には72%、昨年度は95%に達しました。海外で稼いで国内で投資するという、国益を強化する産業界本来の姿が見え始めています。素晴らしいことです。

海外利益、非課税分の使い道:研究開発・設備投資44%
経済産業省は平成21年、国内に還流させた配当金の使途について調査を実施したところ、「研究開発、設備投資」が44%と、新たな最先端技術のものづくりに、技術大国としての誇りが伺えます。さらに「借入返済」が26%、「株主配当」が19%、「従業員への報酬・教育訓練」が16%と続いています。海外で稼いで国内でさらに技術を磨き知的財産などで守りを堅め、競争力の高い製品の輸出を拡大させたいものです。
一方、東日本大震災を受け、政府は復興財源に税収規模の大きい消費税や法人税、所得税などを臨時に増税するなどメディアを賑わせますが、平野復興相は「消費税と言うのは考えにくい」と慎重な姿勢を見せます。復興計画の詳細な内容が提言される前に、増税ばかりが議論され、菅首相は復興構想会議の提言を待って予算編成すると、あまりの無責任ぶりには呆れるばかりです。

米レーガン元大統領:減税政策で景気回復へ
海外子会社から受け取る利益の95%を非課税として国内へ再投資されば、結果として法人税や所得税など納税額が増え、財源が確保されることもあります。昭和56年、米ロナルド・レーガン大統領は「小さな政府」を掲げ、景気回復にとった政策は、企業活性化のために法人税、所得税の大胆な減税政策でした。大胆な規制緩和によって消費マインドは高まり景気回復へ繋がりました。さらに物価の上昇を抑えるため、金利を引き上げるなど金融政策を打ち出し、円安ドル高となって自動車など輸出拡大で日本企業にも恩恵をもたらしました。

想定外の震災被害には一致して大胆な規制緩和
「ロン・ヤス」の間柄で久しい中曽根前首相も電電公社や国鉄を民営化させるなど「小さな政府」、「規制緩和」を目指し、景気を回復させました。頭数だけ揃った国会では首相下ろしの論議が繰り返され復興に向けた明確な計画が不透明のままです。想定外の震災被害には、想定外の経済・金融政策や大胆な規制緩和で市場を活性化させ復興を遂げたいものです。

[2011.7.21]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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