中国人民銀行、金利規制:貸出現行の90%、預金は約1.4倍/明らかな政府介入銀行保護政策
それ見たことか。中国の日本銀行にあたる「中国人民銀行」(中国北京市周小川総裁)が、銀行の金利規制を復活させました。「何を考えているんだ」「どうなっているんだ」という話でしょう。
国際通貨「人民元」遠のく
「人民元」を国際通貨にすることを"悲願"とする中国にとって、金利自由化は、その出発点のはずでした。
その実現がまったく困難なことは確かですが、場当たり的、ご都合主義の変更が、果たして国際金融に受け入れられるはずもありません。
その実現がまったく困難なことは確かですが、場当たり的、ご都合主義の変更が、果たして国際金融に受け入れられるはずもありません。
上限下限ともに復活は銀行の保護政策
今回の変更では、主に法人向け金利について、昨年から完全撤廃されていた銀行貸し出し金利の下限規制、銀行預金金利の上限規制をともに復活させ、基準金利を定めます。
「貸し出し」(期間1年)では、現行の「4.35%」の90%を下限に設定。「預金」(期間1年)では、は「1.50%」の1.3~1.4倍を上限にします。
これにより、銀行は収益を上げやすくなるのです。低金利での貸し出し競争を避け、預金による資金調達でもコストを下げられるためです。明らかな中央銀行による保護政策といっていいでしょう。
これにより、銀行は収益を上げやすくなるのです。低金利での貸し出し競争を避け、預金による資金調達でもコストを下げられるためです。明らかな中央銀行による保護政策といっていいでしょう。
不良債権処理前の体力強化?
中国では、過剰な投資によって生産能力を抱える企業や、空き室を多く抱えるマンションディベロッパーなどが激増しており、政府は、景気減速の主因でもあるこうした企業の淘汰を進める方針。
しかし、淘汰を断行すれば、新たな不良債権が急増するのは必至で、事前の対策として、金利の自由化をいったん凍結してでも、銀行の体力を強化させる方針は誰から見ても明らかです。
しかし、淘汰を断行すれば、新たな不良債権が急増するのは必至で、事前の対策として、金利の自由化をいったん凍結してでも、銀行の体力を強化させる方針は誰から見ても明らかです。
不良債権1兆3921億元で前年同期比4割増
銀行が抱えている不良債権は、平成28(2016)年3月末時点で、1兆3921億元(約22兆円)に達し、前年同期比ではなんと4割以上も増加しました。
不良債権比率は1.75%。不良債権の"予備軍"が、3兆2000億元に上るとの試算もあります。これに対し、平成28(2016)年1~3月期の国内総生産(GDP)の実質伸び率は6.7%で、7年ぶりの低水準。政府の介入はもはや避けられない状況です。
不良債権比率は1.75%。不良債権の"予備軍"が、3兆2000億元に上るとの試算もあります。これに対し、平成28(2016)年1~3月期の国内総生産(GDP)の実質伸び率は6.7%で、7年ぶりの低水準。政府の介入はもはや避けられない状況です。
とはいえ、常に対外的には、まずはメンツを重視し、高圧的でありながら、都合が悪いことはすぐ改変では、とても一流国になるには程遠いと言わざるをえません。
[2016.07.12]
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