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企業内失業8.5% 465万人!「日本経済2011-2012」:内閣府/雇用の安定化求め「無期雇用」転換の制度導入要請:厚生労働省

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内閣府は毎年末に、日本経済の現状と課題をまとめた報告書「日本経済」シリーズを公表しています。12月21日に公開された「日本経済2011-2012」では、「持ち直し」のテンポが穏やかとなった景気が、以前の基調に復し、さらに自律的な回復へと移行できるかどうかを検討することをねらいとし、
「景気の現状」
「被災地の状況」
「リーマンショック後の国際金融市場の連動性」
の3点に焦点を当てて分析を行いました。

震災・円高・デフレ・電力不足など問題山積の国内景気
≪第1章≫
景気の現状分析を通して「東日本大震災後の復調鈍化の背景には輸出の鈍化や設備投資の不振があり、欧州政府債務危機の早期終息や円の安定化が重要」「日本経済の回復には、震災後に生じている電力の供給制約を克服する必要がある」などと指摘。
≪第2章≫
被災地の状況を多面的に分析。その結果、「震災により生産停止した事業所の影響が大きい鉄鋼やパルプ・紙工業の生産が他地域に比べて低迷」「有効求人倍率の改善の遅れや職種間のミスマッチがみられる」などの問題を明らかにしています。
≪第3章≫
リーマンショック後の国際金融市場の連動性に焦点を当て、「ギリシャショックは日本に伝播しなかったが、イタリアとスペインが破綻した場合は、日本の景気に対する影響は大きい」「日本で財政リスクが顕在化していないのは、基本的に国内における貯蓄超過によると考えられるが、経済情勢やリスク管理の強化を企図した制度的要因を背景に、国内資金が日本国債の保有に向かうインセンティブがあることも無視できない」としています。

8.5%は余剰人員?!「企業内失業者」465万人
また、企業が抱える余剰人員である「企業内失業者」は平成23年9月時点で最大465万人となり、全雇用者の8.5%に達するとの推計結果が示されました。1年前より50万人増加。東日本大震災の影響で、製造業を中心に高止まりしているとの見方です。
企業内失業は、生産などに見合った最適な雇用者数と、実際の常時雇用者数の差で、内閣府が3ヶ月ごとの数字を推計。平成21年3月の後は減少傾向が続き、22年9月には415万人まで減少したものの、その後再び上昇。23年9月の企業内失業者のうち、製造業は最大170万人で、雇用者に占める割合は17.2%にも上ります。

非正規雇用者の待遇改善へ「5年超えれば無期雇用」要請:厚生労働省
パートや契約社員など非正規労働者の増加、雇用の不安定化も長らくの問題となっています。厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は12月26日、これらの「有期契約労働者」について、同じ職場で5年を超えて働いた場合、期間を限定しない「無期雇用」に転換できる制度の導入を求めた報告書をまとめました。
現行の労働基準法では有期労働の契約期間を原則3年以内と規定していますが、実際には契約更新を繰り返し正社員と同様の仕事をする例も。報告では5年を超えれば「労働者の申し出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することが必要」と要請しています。また、期間が5年以内の労働者がいったん雇用先の企業を離れても、一定期間の経過後、再び同じ会社と有期契約を結べる「クーリング期間」を6カ月とすることも盛り込んでいます。
ただし、業種によっては雇用の固定化が企業の負担増につながるのも事実。この制度の導入により、契約満了前に雇用契約を打ち切る「雇い止め」の増加も懸念されます。さらに、急激な労働規制の強化が企業の海外移転を助長し、国内景気の回復を妨げる可能性も無視できないという見方もあり、慎重な調整が必要です。

今年の干支は辰(たつ)。言葉遊びの一環で「立つ年」「断つ年」「建つ年」など連想されますが、震災、電力不足、円高など、さまざまなリスクにさらされ続けている日本経済にとっては、まず負のスパイラルを「断つ年」であって欲しいと切に望みます。

[2012.1.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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