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企業倒産件数、過去最少件数の748件!リスケ、公共事業前倒し発注が倒産を抑制、懸念は中小零細の増加傾向

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4月倒産件数,前年から18.1%減
東京商工リサーチは5月13日、4月の全国企業倒産が前年同月比18.1%減の748件と2ケ月ぶりに前年同月を下回ったことを発表。4月としては平成8年以降、過去最少件数にとどまりました。
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金融機関が中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)などに応じていることや、経済対策として前倒しで発注した公共事業などが倒産減少の要因となっています。中小企業向けの貸出金の増加も経営の下支えとなっています。
負債総額では、前年同月比36.6%増の516億9,200万円と大幅に増加したものの、これは東証1部上場の江守グループホールディングスの大型倒産が影響。この1件だけで全体の構成比36.8%を占めました。

10産業中9産業で倒産減少
産業別倒産件数では10産業中、不動産業を除く9産業で前年を下回りました。製造業では前年同月比9.9%減の109件で21ケ月連続で減少。建設業も同21.6%減の134件と10ケ月連続前年を下回りました。また、卸売業が同3.7%減の128件と3ケ月ぶりに前月を下回り、小売業も同16.8%減の105件と2ケ月ぶりに減少に転じました。
地域別倒産件数では、9地区全てが前年同月を下回り、全ての地区が減少となるのは平成25年8月以来、1年8ケ月ぶりとなります。

従業員5人未満の倒産件数、全体の7割超え
ただ、従業員別の倒産件数をみると従業員300人以上の倒産はゼロだったのに対し、従業員5人未満は543件と倒産全体の72.59%に達し、3ケ月ぶりに70%を超えました。中小零細の倒産件数は大企業に比べ減っておらず、構成比が上昇しています。平成12年の年間平均の従業員5人未満の倒産件数は、全体の66.0%。安倍政権がスタートして以降、中小零細は増加傾向にあり平成25年は68.4%、26年は70.3%と高まっています。アベノミクス効果で、大企業は業績が回復するものの、中小零細にはその恩恵が届いていないようです。

原材料高騰など円安デメリットが中小零細に
中小零細を取り巻く環境をみると、円安デメリットである原材料の価格高騰や、電気料金の値上げなどコストの増加が経営を直撃。さらに消費税増税による価格転嫁をコスト競争からできない中小零細もみられます。
資本金別の倒産件数でも、1億円以上の企業は45%減である一方,5,000万円以上になると24%減、1,000万円以上で18%減,500万円以上で14%減と、資本金が少なくなるほど減少幅が縮小しています。安倍政権は、大企業が回復すれば中小零細にも回ると主張していますが倒産状況をみるなり、実現には至っておりません。

[2015.5.26]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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