姿消すジャンボジェット747、JALに続きANAも退役決定!「大型機の少頻度」から「中型機の多頻度」へ運行ニーズの移り変わり
ANA、保有する5機を今年度中に退役の方針
「ジャンボ」の愛称で親しまれるボーイング747型旅客機を国内で唯一運行するANAは、保有する5機全機を退役させる方針を示しました。今月以降順次退役させ、今年度中には全機が姿を消す予定です。
747型機は、両翼に2つづつ計4発の大きなエンジンと旅客機として初めて2階席を設け、一度の飛行で500人以上の乗客を運ぶことが可能な効率の良い機種。ANAでは、昭和54年から運行を始め、これまで計47機を導入しました。
燃費効率悪く、搭乗率を上げなければ採算割れも
747型機は、少ない燃料で多くの乗客を輸送する他機に比べ、燃費効率が悪く搭乗率を上げなければ採算がとれないとされます。同機の最新版は、平成24年6月に大量の乗客と貨物を経済的に運べる機種として開発されたものの、受注のほとんどは貨物機。旅客機としては、ルフトハンザドイツ航空の1社となっています。
羽田空港の24時間化や発着枠の緩和により現在は、大型機による少頻度運行から燃費効率の良い787型機のような中型機による多頻度運行が主役となってきています。南極大陸以外、全ての大陸を飛行し、平成17年の全2階建てのエアバスA380がデビューするまでは世界一巨大な旅客機は、時代とともに貨物利用へ変わろうとしています。
JAL、経営破綻で予定より4年早く退役
ANA同様に747型機を運行していたJALは、平成27年まで運行を予定していましたが、経営破綻により計画が4年早められすでに退役しました。JALが最初に導入されたのは昭和45年7月の羽田・ホノルル便。初代鶴丸塗装はこの導入時に合わせ制定されました。昭和48年には、導入間もない747型機がハイジャックされリビアで爆破。死傷者はなかったものの機材を失いました。
そして昭和60年8月12日、羽田を離陸した747型機は、駿河湾上空で原因不明の爆発でコントロールを失い、約1時間迷走の末、群馬県の御巣鷹山に墜落。520名の尊い命が失われ、単独機では過去最大の事故として記録されました。
政府専用機も747型機から新機種採用へ
政府は5月25日、皇室や首相の外遊に使われる政府専用機の747型機を平成32年度から新機種に変更する方針を示しました。維持管理のコストから民間航空のチャーター機なども検討されましたが、海外での邦人救出に活用しにくく、労働組合のストライキで運行に支障のでる可能性も指摘され見送られました。
新機種には最新鋭のボーイング787型機や777型機が挙がり、防衛省や関係省庁などで意見を集約し今年度内に絞り込むとしています。5ケ月ぶりに営業運行を再開したJALの787型機は、6月2日にバッテリー格納容器に異変。米ボーイング社の人為ミスとわかり安全に支障はないものの、信頼を取り戻すにはまだ時間がかかりそうです。
[2013.6.7]
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