空の大量輸送ボーイング747勇退!低燃費化、渡航先の多様化で主流は中型機
海外旅行の火付け役、44年の歴史に幕
空の大量輸送時代を支えてきたボーイング747(B747)は3月31日,日本の民間旅客機として初就航から約44年の歴史に幕を下ろしました。最後の1機となった全日空(ANA)が保有するB747は同日、那覇発羽田行きが最後のフライトとなりました。
B747は昭和45年にJALがはじめて導入し、500を超える客席は1席当たりのコストを下げ,ホノルル線など海外旅行ブームの火付け役ともなりました。昭和44年には約49万人だった海外旅行者数は,45年に約66万人,47年には139万人に上りました。
大量輸送で「コスト削減」のメリット、空席多ければ「経営圧迫」
B747は、大量輸送によるコスト削減のメリットは得られるものの、近年の燃料高騰や旅行先の多様化が進み予約が埋まらず、機体の維持も経営を圧迫。最先端のB787など軽量で燃費性能の高い機種へ道を譲ることになりました。
B747の両翼には大型の大型エンジンが4基搭載。客室は2階構造とみるからに燃費性能が良さそうにみえません。満席であれば元はとれるものの、ガラガラでは燃料をまき散らし、乗務員が暇を持て余すことにもなり得ません。
政府専用機が国内唯一のB747/平成31年には新機種へ
国内で唯一B747が残るのは、航空自衛隊が運用する政府専用機があるものの、民間から姿を消すのに合わせ自衛隊の機種変更も遠くはありません。後継機には,ボーイング社のB777やエアバス社のA350など中型機が候補にあげられています。
政府専用機は、国賓の輸送だけでなく平成16年には北朝鮮の拉致被害者の帰省や、昨年1月にはアルジェリアのプラント襲撃拘束事件で被害者の輸送にも使われています。政府は、今夏にも機種の選定を終え,数年かけ政府専用機仕様に変更し平成31年に導入としています。
日本の国際化を下支え
日本人の海外渡航自由化は昭和39年。1人年1回、海外持ち出し額は500ドルに制限され海外旅行が可能となりました。この年には東京オリンピックが開催され,為替取引も原則自由化されるIMF(International Monetary Fund:国際通貨危機)やOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)に加盟するなど国際化が急速に進みました。
3月30日には羽田空港の国際線が拡充され1日約80便増加。ベトナムなどアジア中距離路線の主力機には中型機が目立ちます。6年後には東京五輪を控え,目の前にはTPP(環太平洋経済連携協定)も迫り、日本はさらなる国際化に変革の兆しがみえます。
●関連記事:「姿消すジャンボジェット747、JALに続きANAも退役決定!「大型機の少頻度」から「中型機の多頻度」へ運行ニーズの移り変わり」[2013.6.7配信]
[2014.4.3]
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