首都圏マンションの年間契約率68.8%。好不況目安の70%を7年ぶりに割る
7年ぶりの年間契約率減少
ついに、というべきか。首都圏のマンション市場に陰りが見えてきました。不動産経済研究所が今年2月、平成28(2016)年の市場動向を発表しましたが、年間契約率は68.8%と、前年比5.7ポイント減。好不況の目安は「70%」とされ、70%割れは、リーマン・ショック後の平成21(2009)年以来7年ぶりです。日銀(日本銀行:東京都中央区 黒田東彦総裁)のマイナス金利政策などの神通力も消えたようです。
1戸あたりの平均販売価格は0.5%下落の5490万円
同研究所によると、平成28(2016)年の1戸あたりの平均販売価格は、前年比0.5%下落の5490万円でした。この5年ほど、首都圏のマンション価格は上昇基調で、平成27(2015)年は、平均価格5518万円と24年ぶりの高さにまで上昇。東京都区部の平均では6629万円、神奈川県でも5039万円と依然高額で、サラリーマンの所得が大きく増えない中、「手が届かない」という感覚が広がったようです。
資材、人件費の高騰、マイナス金利...
マンション価格の高騰の要因は、複合的でした。資材価格の上昇や人件費の高騰で建設コストがあがりました。さらに、平成25(2013)年4月、日銀が、デフレ脱却を目指して「異次元緩和」に乗り出し、資金供給量を、3年半かけて、134兆円から426兆円へ3倍超に増やしたのです。この資金はベンチャー企業や地方企業にはなかなか回らず、不動産融資に集中しました。買い手も、マイナス金利政策で購入資金が得やすくなり、マンション購入に走ったのです。
金利の変化が潮目の変化に
しかし、マイナス圏にあった長期金利がプラスの水準に戻り、昨年8月には、住宅ローン金利も下げ止まりました。今後は、小幅ながらも上昇していきそうです。そうなると、住宅ローン申込件数も減り、購入の契約件数も減る。一つの潮目が確実に変わったととらえるべきでしょう。
●関連記事:「新築マンション発売戸数4ケ月連続前年割れ!都心部高額マンションは契約率7割越えで好調」[2015.6.1配信]
[2017.2.18]
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