環境変化を「甘く見ていた」スカイマーク、エアバス6機のキャンセル違約金は700億円
放漫経営による倒産は増加
倒産件数が大幅に減少するなか、好況期に増加傾向を示す「放漫経営」による倒産が増加。東京商工リサーチによると今年上半期(1月〜6月)、放漫経営がきっかけで倒産した企業は前年同期比5.2%増の263件。2年ぶりに増加に転じました。
このうち「事業上の失敗」による倒産件数は横ばいとなる一方,投資などによる損失など「事業外の失敗」による倒産は、前年同期比59.2%増の43件と急増。景気拡大局面では,事業の多角化や不動産投資の失敗など放漫経営が理由の倒産比率が増える傾向にあります。
「A380」6機の支払い目処たたず
国内3位の航空会社、スカイマークの経営に暗雲が立ちこめています。悲願だった国際線参入に向け発注していたエアバス社の超大型旅客機「A380」6機の支払いの目処が立たず、エアバス社は売買契約解除を通告。スカイマークに巨額の違約金支払を求めています。
スカイマークの西久保社長は、7月29日の会見で「反省している。環境変化があることに対して少し甘く見ていた」と、自らの経営判断の誤りを認めました。
エアバス社が求める違約金支払額は7億ドル(約700億円)と、スカイマークの企業価値を示す株式時価総額約170億円の4倍近くに上ります。
読めなかった燃料費高騰、LCC参入
スカイマークがエアバス社と売買契約を結んだのは平成23年。当時は業績も拡大傾向にあり大型投資への追い風となりましたが、その後の円安による燃料費高騰や相次ぎ参入するLCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)との競争激化など逆風への備えは十分でありませんでした。
7月31日発表されたスカイマークの今年4月〜6月期の決算では,最終損益が57億円の赤字に拡大。事業継続に「重要な疑義」があると開示しました。
「大幅な赤字や資金繰りの悪化」投資家へ注意喚起
上場企業は事業継続を前提としており,大幅な赤字や資金繰りの悪化など、この前提が崩れかねない場合には「重要な疑義」など有価証券報告書に注記。投資家に注意喚起をする必要があります。今年3月期の上場企業2,467社のうち注記がついた企業は27社となっています。
スカイマークの超大型旅客機への投資は「事業上の失敗」であるものの、事業環境が変わるスピードはさらに進みます。経営者の判断ミスが企業に大きなダメージを与えることとなります。
[2014.8.8]
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