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経産省調査:工場海外移転の可能性67%に増加!経団連:国内投資促進プログラムの早期実行求める

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円高80円代、電力削減15%、製造拠点を海外に移転の傾向
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為替相場は80円台前半で推移し、7月からは東京・東北電力のピーク時の電力供給15%削減に、関西電力も停止中の原発の再稼働の見込みがつかず、さらに九州電力でも節電要請が検討されています。国内の製造業では、収益圧迫に耐えられず海外へ拠点移動が検討され、国内産業空洞化が一段と加速する懸念が残ります。

経産省:工場リスク分散先は国内へ呼びかけ
企業:サプライチェーン崩壊危機回避を海外拠点に67%
経済産業省では、サプライチェーン(供給体制)の混乱による部品工場などのリスク分散に、海外への移転を阻止するための施策を打ち出すとしています。自動車や電機部品など成長産業の国内リスク分散や、先端技術を持つ環境産業などが国内に工場を新設する場合、補助金の交付を第3次補正予算に盛り込むとしています。一方、国会では政局を隠れ蓑にして利権争いに時間を費やし、未だに2次補正も成立せず。避難生活を続ける被災者のみならず、円高や電力供給不足で危機的状況に対峙する産業界の心理的圧迫は爆発寸前です。

インドネシア大使:「すでに工場を移転したいという相談が相次いでいる」
各自治体では、部品など供給のリスク分散や被災した工場向けに、設備資金などの助成枠の拡大や、地元雇用の助成など手厚い支援策を打ち出しています。自治体独自で支援策に取り組むのは珍らしいことですが、国の援護策とダブルで支援しなければ規模は小さなものとなってしまいます。経済産業省では、日本の産業競争力強化に向けた「産業構造ビジョン」を補う施策として補助金を交付とありますが、すでに産業界には円高、電力不安から海外移転の動きも出ているようです。
国内に日本の工場を誘致しようとアジア各国では力を注ぎますが、すでに日本企業からの打診も数多くあるようです。駐日インドネシア大使のムハメド・ルツフィ氏が5月20日、経団連会館で「被災した企業から工場を移転したいという相談が相次いでいる」と語っていました。企業にとっての生き残り、雇用維持に限界は超えているのです。

経団連:国内投資促進Pの早期実行を求める!遅れれば5年で損失60兆、300万人雇用損失
日本経団連では昨年10月、政府に「日本国内投資促進プログラムの早期実行」を求めています。震災前には企業収益の改善や、設備投資の下げ止まりで産業界に薄日が差したものの、企業の想定を上回る円高推移に国内の設備投資を促し、雇用機会の創出を図るよう提言しています。日本経団連では、工場など海外移転が続き、海外生産比率が上昇する一方で、国内の生産が停滞すれば今後5年で約60兆円相当の国内需要と300万人規模の雇用機会を失い失業率は5%上昇するとしています。
経済産業省が昨年8月27日発表した「円高の影響に関する緊急調査」によると、1ドル85円の円高が継続した場合、企業の47%が「海外移転の可能性がある」と答えています。昨年8月から円高はさらに進み80円前半を推移しており、同省の調査では69%の企業が「海外へ拠点移転を検討」と増加、国内産業空洞化が現実を帯びてきました。

経産省:節電分の電気割引改革案、この程度では製造業海外移転阻止できない
経済産業省は6月21日、電力の大口需要家の大企業向けに節電分の電気を割り引くシシテム改革案をまとめ、海外移転阻止を狙うとありますが、電気代割引が海外移転をとどめる決め手とは疑問が残ります。企業への補助金交付も、地元雇用の継続策や、長期優遇措置などの中長期的な企業経営支援策がなければただのばらまきにも繋がりかねません。

国内工場で操業生産するメリットを打ち出す必要性、規制ばかりでは国内産業空洞化を更に促進
輸出産業の収益を圧迫する円高に、日銀のさらなる金融緩和や政府の想定外の政策が打ち出さなければ国内産業の空洞化は進み、雇用、市場を失いかねません。政府はすでに敷地面積に対する緑地化率など国内での工場建設に関連する規制緩和を発表していますが、国内移転を促す後押しになるとは思えません。米パソコン大手のHP(ヒューレット・パッカート)が中国での組み立てから東京都内の工場での生産にシフトされるように、国内で生産するメリットが企業になければ空洞化は避けられません。政府は、これ以上の空洞化を防ぐため、国内生産を後押しする規制緩和、政策を早急に打ち出し、雇用を創出し国内経済復活を図りたいものです。


[2011.6.25]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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