銀行カードローン、奨学金が原因!?自己破産申立件数、6.4%増加
長年減少傾向が2年連続増加
最高裁がまとめた平成29年の個人の自己破産申立件数は前年から6.4%増加し8万8,791件と2年連続増加しました。自己破産申立件数は、平成28年から前年件数を超えておりペースも上がっています。
自己破産申立件数は、平成15年の約24万件をピークに減少し続けてきましたが、ここ数年で貸し出しが急増している銀行カードローンの影響が大きくありそうです。
改正貸金業法完全施行でおさまった自己破産
これまで自己破産申立件数は、消費者金融からの借り入れによる多重債務者の増加で、社会問題にもなりました。この問題解消のため平成18年に改正貸金業法が成立し、昭和22年には完全施行され、年収の3分の1を超える貸し出しを禁ずる総量規制や、グレーゾーン金利が撤廃されました。
一方、消費者金融と同じ業態でありながら、なぜか貸金業法が適用されない銀行カードローンは、貸し出し残高が急増しており平成25年から4年間で1.6倍に膨らみました。
銀行カードローン貸し出し残高、6兆円に迫る勢い
日銀の統計によると、平成29年末時点の銀行かードローン貸し出し残高は前年から5.7%増え、5兆7,460億円に上りました。
日銀のマイナス金利政策もあり、企業向け・住宅ローンの金利は1%を割り込むものの、銀行カードローンの貸出金利は10%〜15%と十分に利ざやが取れ、収益となる事業としてテレビコマーシャルや広告など販促をかけ、大きく伸びました。
結果、年収を上回る額を貸し出すケースもあり、自己破産が増える要因になると国会などでも指摘されています。
奨学金返済できず自己破産、5年で1万5千人
金融庁では、この問題に昨年秋から銀行など金融機関を検査し始め、全国銀行協会でも過度な貸し出し、広告を自粛し対策を講じ始めています。
一方、日本学生支援機構より借り入れた奨学金が返せず自己破産を申立てた件数は、この5年で1万5,338人。奨学金での自己破産は、学費の値上げや非正規雇用の拡大に加え、同機構が回収を強めた影響もあります。本人へ返還を促すよう裁判所に申し立てた件数は5年で約4万5,000件に上ります。
同機構では、延滞金の利率を下げ、返済期間を猶予するなど対策も講じましたが自己破産は後を絶たないと言い、今後、自己破産の動向が懸念されます。
●関連記事:「自己破産者13年ぶりに増加!高齢・シニア層が増加傾向に「グラミン銀行」の役割は?」[2017.11.16配信]
[2018.2.14]
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