円滑化法効果維持、企業倒産件数8ケ月連続前年から減少!上半期は22年ぶりに6,000件割れ
6月の企業倒産件数、過去20年で最少
東京商工リサーチが7月8日発表した6月の企業倒産件数は896件と今年最少数。6月としては過去20年間でも最も少なく、前年同月も8ケ月連続して下回りました。負債総額では、111.2%増と大幅に急増しましたが、年金資金の巨額詐欺問題に関わったAIJ投資顧問の傘下、アイティーエム証券の負債1,416億円の大型倒産が押し上げました。
業種別では、建設業が184件と前年同月から20.6%減少。月次で200件を下回ったのは平成4年1月以来21年5ケ月ぶりとなりました。一方、円高是正により輸入価格の高騰で収益を圧迫する運輸業は49件と前年から28.9%増加。サービス業他でも200件と2ケ月ぶりに増加に転じました。
上半期の倒産件数は22年ぶりに6,000件割れ
今年上半期(1月~6月)の企業倒産件数を見ると、5,620件と前年同期から10.9%減少。上半期では4年連続して前年同期を下回り、平成3年以来22年ぶりに6,000件を下回りました。平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)などの効果が見事に表れました。
業種別では10産業中7産業で前年同期を下回ったものの、円安の副作用による運輸業や製造業、金融・保険業で増加が見られました。また地域別では、震災の復興ニーズが高まる東北で同23.0%と唯一増加。東北バブルの声も上がるなか、復興進行の実態には疑問が残ります。
円滑化法利用後の倒産は9ケ月連続前年超え
一方、中小企業金融円滑化法によるリスケジュールをしたにも関わらず、経営改善計画が進まず倒産に至った企業倒産件数は、6月に44件。9ケ月連続して前年同月を上回っています。負債総額でも198億4,600万円と前年同月から46.4%増。従業員数別では、5人未満が同200%増加、小規模事業者の倒産が目立ちます。
今年上半期の累計では242件と、製造業、建設業で8割を占め、倒産原因では販売不振が133件と業績の回復遅れが際立ちます。従業員数別では、従業員10人未満の小規模・零細企業が全体の約6割を占め、アベノミクス効果で潤う大企業との明暗が露呈されました。
日銀は「景気回復」宣言!地銀は、「中小への事業の発注はまだまだ」
リスケジュールなどを申請した金融機関のうち、9割弱が地域銀行や信金、信組と地方経済を担う地域企業への対応が懸念されます。全国地方銀行協会では、日銀が景気回復を宣言したものの、公共事業など中小企業への発注にはまだ時間がかかっているとの見方を示しています。
中小企業では販路拡大に海外進出やM&A(合併・買収)、再編など積極性も見られるとし、地銀が力を発揮し中小企業をサポート。地域経済の発展への責任も重大となります。企業倒産件数は減少するものの、依然、中小企業金融円滑化法の効力が支えとなっているのも事実。参院選でのねじれ解消で中小向けの経済政策、金融支援が効果的に打ち出されるか注視が必要です。
[2013.7.17]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 円滑化法効果維持、企業倒産件数8ケ月連続前年から減少!上半期は22年ぶりに6,000件割れ
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/1365
コメントする