小規模人材派遣事業者の倒産増える。「販売不振」などで前年同期比8%増の54社に
改正労働者派遣法の影響
矢野経済研究所((株)矢野経済研究所:東京都中野区 水越孝社長)が、人材派遣事業者を対象にした、「人材ビジネス市場」の実態調査の結果を発表しました。緩やかながらも市場が拡大しています。しかし、改正労働者派遣法などの影響で拡大ペースは鈍く、小規模の事業者の倒産が増えている――などの現状が見えてきました。
市場自体は2年連続プラス成長だが...
調査は、平成28(2016)年7月から10月にかけて実施。その結果、平成27(2015)年度の人材派遣業(一般労働者派遣業)の市場規模は、前年度比5.0%増の4兆1020億円でした。2年連続のプラス成長で、平成28(2016)年度も拡大は続きそうです。
基本的には"売り手市場"であり、派遣労働者の時給単価も上昇傾向にありますが、人気業種には偏りもあり、3K職場は敬遠されるようです。
「無期転換ルール」の適用時期が迫るなかで
法改正の影響も見てとれます。平成27(2015)年9月施行の「改正労働者派遣法」は、派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるなど、雇用の安定措置を盛り込みました。その2年半前には、「改正労働者契約法」で、労働契約が更新されて通算5年を超えた場合、無期労働契約に転換できる「無期転換ルール」も定められ、その適用が平成30(2018)年に迫っています。これらを踏まえ、多くの企業が、人材派遣をやめ、アウトソーシングサービスへの切り替えを進めています。
前年同期比8%増の倒産件数
労働者派遣事業者の倒産が増えているのは、小規模事業者ほど、変化への対応や、派遣労働者の確保が難しくなる環境に置かれているため、と見られます。
東京商工リサーチが昨年11月9日に発表した、「労働者派遣業の倒産状況(平成28年1月~10月)」では、全体の倒産件数がバブル期並みの低水準となるなか、労働者派遣事業者の倒産は、前年同期を上回り、前年同期比8%増の54社でした。「販売不振」(64.8%)、「他社倒産の余波」(14.8%)などが理由に挙げられています。
●関連記事:「完全失業率、有効求人倍率改善!非正規4割弱に上昇、派遣法改正案は誰のためか」[2014.4.2配信]
[2017.1.12]
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