改善基調示す街角景気:4年4ヶ月ぶりに「横ばい」上回る/二重ローン債権買取り「産業復興機構」設立
「街角景気」4ヶ月連続改善/内閣府:景気ウォッチャー調査
内閣府が8月8日に発表した7月度の景気ウォッチャー調査によると、街角の景気実感を示す全国の現状判断指数(DI)は前月比3.0ポイント増の52.6となり、4ヶ月連続で改善。景気の横ばいを示す50を上回ったのは平成19年3月以来、実に4年4ヶ月ぶりのことです。
省エネ家電や地デジ対応テレビの販売が影響したほか、自動車などの生産回復により求人が増加したことも底上げにつながっています。全国的に東日本大震災後の自粛ムードから「経済復興」に意識が切り替わったことで消費者の購買意欲も上向き、内閣府は景気の基調判断を「東日本大震災の影響が残るものの、持ち直している」として上方修正しています。
被災企業の二重ローン救済/地元金融機関合意で新機構設立:岩手県
街角景気上向きの報道と同日、東日本大震災の被災地にも明るいニュースが。経済産業省は、東日本大震災で被災した中小企業を悩ませている「二重ローン」問題の解消に向け、岩手県と地元金融機関との間で、被災企業の債権を買い取る新機構の設立について合意したと発表しました。
機構の名称は「岩手県産業復興機構」。同機構への出資総額は約500億円で、8割を独立行政法人中小企業基盤整備機構が負担し、残り2割を、岩手銀行をはじめとした県内の金融機関や県が担うとのこと。今月19日に準備委員会を立ち上げ、9月中旬の設立を目指します。
再生可能性条件で債権買取り、出融資も実施
支援の対象となるのは、メインバンクから新規融資などの支援を表明されている事業者。産業復興機構と同時に設立される「岩手県産業復興相談センター」で再生可能性の判断を受けることが条件ですが、中小企業に限らず、個人事業主や農事組合法人、医療法人なども対象となります。
既存の債権を買い取ることで返済を凍結し、5年後に凍結期間継続の可否を判断。また、出融資も行なう計画があります。
復興にはスピード感が重要/事業者が再生目指せる土台づくりを急げ!
7月25日に成立した2次補正予算において、総額1兆9,988億円のうち、東日本大震災で被災した企業や個人が新たな借金を抱えて苦しむ二重ローンへの対策として774億円が確保されました。二重ローン問題に取り組む機構設立は岩手県が初めて。宮城県、福島県でも同様の機構設立に向けて協議が進められています。
ただし、設立に向けては人員の確保や地元での出資金調達など、複数の課題も。原発の不安の渦中にある福島県内では「自治体の復興計画も不十分な状態で企業の経営再建計画は立てにくい」という声もあり、事業者が前を向いて再生に取り組める環境の整備がまず必要とされています。「今後1~2カ月で運営のメドをつけたい」として、迅速な対応が注目されている岩手県には、東北再生の先駆けとして猛進してもらいたいですね。
[2011.8.11]
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