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安愚楽牧場:民事再生、今年最大負債4,330億円!「実質清算」の再生計画

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安愚楽牧場民事再生/負債総額は4,330億8300万円、今年最大
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株式会社安愚楽牧場(栃木県那須塩原市埼玉2番地37/代表取締役:三ヶ尻久美子氏)は8月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。東京商工リサーチの調査によると負債総額は4,330億8300万円。1月に経営破綻が報じられ現在会社更生手続き中のバイオメーカー・林原(株式会社林原/岡山市北区下石井1-2-3/代表取締役社長:福田恵温氏)の2,328億300万円(グループ3社合計)を大きく抜き、今年最大の倒産となりました。

原発事故後に解約が急激に増加、4ヶ月で負債7倍に
安愚楽牧場は栃木県をはじめ、全国およそ40ヶ所に牧場を運営し、畜産事業を行なってきました。同社の「和牛オーナー制度」による資金調達も、特徴あるビジネスモデルとして注目されていましたが、経営悪化の要因として東京電力福島第一原発事故による投資の契約解除の増加や和牛の価格下落を挙げています。
今年3月末時点の決算書によると、負債総額は619億8,700万円。放射能問題の悪化に伴い負債が膨れ上がったのは明白と言えまず。契約していたオーナーはおよそ7万人。平均出資額は574万円(東京商工リサーチ調べ)とのことですが、安愚楽牧場側が牛を買い戻すとしても元本割れになる可能性が高いとしています。

牧場売却、ホテル事業、食品加工事業譲渡、の清算型再生
民事再生法適用申請後、各地で順次開催されている債権者集会では、黒字の牧場や食品加工業は事業譲渡、子会社が運営するホテル事業も会社売買もしくは施設売却を行うなど「清算型」再生の基本方針を明らかにしています。三ヶ尻社長自身も私財を処分して債権者への弁済に当てることを明言。ただし、代理人弁護士は現段階では「全額弁済は不可能」との見方を示しており、「国や東京電力との具体的な損害賠償交渉を始めたい」と原発事故が主な要因だとコメントしています。
狂牛病やBSE問題など、相次いで起こる問題によって同様の「和牛投資」企業が次々と破綻するなかでも、着実に牧場を増やし、ブランドを築き上げた安愚楽牧場。産業がない地方に雇用を創出したことも大きな功績であるはずですが、今回の「清算」により大幅な人員整理も避けられません。
 
細野原発担当大臣:安愚楽牧場破綻は賠償対象となる可能性を示唆
細野豪志原発事故担当相は「安愚楽牧場の場所から言っても、牛に関する問題ということから言っても、賠償スキームに乗っかってくる可能性は十分にあると思う」と賠償対象となる可能性を示唆しています。安愚楽牧場も原発被害者、安愚楽牧場投資した投資家も被害者、拡大する原発事故の被害者、東京電力から具体的な賠償の範囲が一刻も早く提示されないと被害者が増えるばかりです。

[2011.8.25]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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