自動運転車の考察④:安全性が課題/事故防止に3D地図、開発力は日本の強み
米国を軸として完全自動運転車の開発が激化していますが、日本企業が先行できる「強み」はどこでしょうか。
それはズバリ、事故を防ぐために不可欠な「次世代型高精度3D地図」だと言えるでしょう。今年5月、米テスラモーターズ(カリフォルニア州 イーロン・マスクCEO)の自動運転車両が起こした死亡事故で、自動運転の安全性に全世界の注目が集まっています。
次世代型高精度3D地図は、道路だけでなく、建物や標識、信号や横断歩道、車が通るレーンなどの位置など、3次元の情報を正確に立体にデータ化したものです。
ネオンサインと重なる信号機、街路樹に見え隠れする標識、道路脇の意外な障害物などは、カメラやセンサーでも完璧に捉えることができません。その際、3D地図が、安全性の向上に力を発揮するのです。
トラックの荷台を案内板と誤認
テスラモーターズの事故は、信号機のない交差点で、対向車線から曲がってきたトラックに気づかずに、突っ込んでしまったもの。トラックの荷台を道路案内板と誤認識したことが一因とされています。
高精度の3D地図を搭載していれば、この誤認識は起こりにくいとされ、東京大学と名古屋大学で自動運転の研究では第一人者で権威の加藤真平准教授はこの事故は「防げた可能性がある」と辛くも指摘しています。
この分野では、地図・測量企業のゼンリン((株)ゼンリン:福岡県北九州市 髙山善司社長)が、先頭を切りました。すでに高速道路の計測を始め、平成32(2020)年までの全線完成を目指しています。
デジタル地図大手のインクリメントP(インクリメント・ピー(株):東京都文京区神宮司巧社長)も昨年夏から、金沢大学と実証実験を開始。測量会社アイサンテクノロジーも、3D地図作成サービスに向けた実験を始め、測定システムとして販売する考えです。
[2016.09.05]
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