タイの都市鉄道を日本の3社連合が受注決定。確かな技術力をアジア各国にアピールする絶好のチャンス
タイの都市鉄道受注決定
日経新聞によると、タイのバンコク近郊の都市鉄道を、住友商事、日立製作所、三菱重工業の3社連合が受注することが決まったようです。受注総額は320億バーツ(約1150億円)強で、信号システムや車両を納めるといいます。日本は、車両や線路ばかりでなく、運行技術などソフト面を含めた「新幹線技術」を官民一体でアジアに売り込もうとしており、今後の弾みとなるでしょう。
2029年までに鉄道敷設を約6倍に!
受注が決まったのは、「レッドライン」と呼ばれる、首都バンコクから北と西に延びる高架鉄道の2本の路線。全13駅で、総延長約40キロメートル。レッドラインは、総事業費3700億円超の大型事業ですが、これはタイ政府の都市鉄道計画の一部に過ぎません。タイ政府は現在、約85キロの都市鉄道を、2029年までに515キロまで延ばす計画を急ピッチで推進中です。急激な経済成長で人口が増え、交通渋滞が深刻化しており、その解決策として、鉄道が期待されているのです。
鉄道ができれば、当然、駅がつくられ、街が生まれます。日本の高度経済成長期の頃を思い返してみるとよいでしょう。近い将来、バンコク周辺に、東京でいえば新宿のような街がいくつも出現します。そして、こうした成長、発展は、タイだけでなく、ベトナムやインドネシアなどアジア各国で進むのです。世界に誇る鉄道技術・新幹線技術を持つ日本が、持てる力を発揮する絶好のチャンスです。
安い、速い...しかし、うまいか?
ただ、その日本に、強力なライバルがいます。中国です。アフリカのインフラ整備で知られたように、中国には「事業が速くて安い」という一定の評価があります。日本企業のようには環境や法令遵守を重視しないとされる一方、コストを抑えたい中進国にはうまみもある。日本は参加しませんが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、年内にも業務を開始します。東南アジアのインフラ受注でも攻勢をかけてくるでしょう。しかし、「安かろう、悪かろう」では、結局は、相手国の国民を幸せにできません。技術力で勝る日本は、国をあげた"総力戦"で勝ちに行かなければなりません。
[2015.7.13]
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