転職市場の回復②:無くなった35歳の壁/45~54歳転職者数50万人規模
専門性だけでなく管理能力も売りに
転職市場の拡大について、補足しておきます。なぜ、「35歳の壁」がなくなったのでしょうか。企業の中核を担う今の40歳前後は、1990年代末から2000年代初めの「就職氷河期」世代です。この世代は、日々の業務に追われ、企業内でマネジメント能力を高めた人材が少ないとされます。今後の成長に不可欠なアジア戦略に向け、海外経験の豊富さという点でも中年層の実力に期待が集まります。専門性だけでなく、「管理能力」も売りになるのです。
45~54歳転職者数過去最多
平成28(2016)年の45~54歳の転職者数は50万人。統計をさかのぼることができる平成14(2002)年以降では最多でした。
この3年で10万人増え、増加率も高まるばかりです。一方、25~34歳の転職者数は77万人。実数では中年層を上回っていますが、全体に占める割合はこの10年ずっと低下しています。
管理職人材の求人は42%増
人材サービスのエン・ジャパン(エン・ジャパン(株):東京都新宿区 鈴木孝二社長)が運営する転職サイト「エン転職」によると、小売りや流通分野でも、コンビニエンスストアなどの店舗拡大に伴う店長職など、管理職人材に強いニーズがあると言います。この1年の求人掲載数は、その前の1年より42%も増えました。
優秀な中年層人材が正規雇用の扉を開くか
こうした中年層の転職では、給与が上がる傾向も見られます。厚生労働省によると、転職で年収が「増えた」人は、平成27(2015)年、初めて「減った」人を逆転。IT(情報技術)エンジニアの転職を調べたリクルートキャリア((株)リクルートキャリア:東京都千代田区 柳川昌紀社長)の調査でも、平成28(2016)年以降、年収が1割以上増えた人が全体の4分の1以上にのぼりました。
生産性の高い業種や企業に優秀な中年層人材が流れれば、中長期的には、日本経済の潜在力を押し上げるきっかけになります。正社員としての採用機会も増えていくかもしれません。
●関連記事:「女性活躍推進法:4月スタート。女性管理職の比率を30%、「サントリー」女性管理職を15%に、「清水建設」は、フレックス導入」[2016.4.2配信]
[2017.3.6]
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