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総量規制で縮小続く貸金業会/「カードローン低金利大作戦」で市場回復!オリックスは業界最低水準3.5%

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信用情報機関の取扱高:CICがJICCを逆転!
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平成22年6月に貸金業法改正による総量規制が施行開始されて以来、貸金業界は縮小の一途。総量規制の影響は、個人の借り入れ状況を管理する信用情報機関にも及んでいます。
これまでは貸金業者中心の日本信用情報機構(JICC、東京・千代田)が首位を誇っていましたが、貸金業者の経営破綻が相次ぐなどしたことにより取扱高が急減。割賦販売法の指定金融機関であり、クレジットカードや信販会社が多く加盟するシー・アイ・シー(CIC、東京・新宿)の月次取扱高が、初めてJICCを上回りました。
信用情報機関の取扱高にあたる登録残高についても、昨年年9月にCICがJICCを逆転しており、11月にはJICCが9兆9783億円に対し、CICが10兆2054億円と、その差を広げつつあります。

総量規制で1/2が取引停止!残高減少続きキャッシング市場回復遅れ
改正貸金業法で借入総額が年収の3分の1以下に抑えられたことなどで、カード・信販会社全体のうち、およそ半分の会員が取引停止となりました。これにより、各社の貸付金残高は大幅に減少。残高に与えるこの返済圧力は依然として強く、貸付けを大きく上回る状態です。このため、新しい利用者があるにもかかわらず残高は増えない、という不安定な状況が続き、市場回復の遅れの要因にもなっています。
一方で、リボショッピングについては各社残高を伸ばしている様子で、ファイナンス全体では上昇傾向にあるとの見方もあります。残高減少は当面続くと考えられますが、その底も見え始めており、大部分は来年中にも上昇に転じる予測があるほか、オリコやクレディセゾンなどは1年以内にも残高回復の見込みを立てています。

「貸金がダメならカードローン」低金利路線で新規利用者取り込み合戦
残高の維持が課題となる状況下、各社ともカード会員増加による見込み利用客の積み増しや、大型の低金利ローンなどの活用で、新たな利用者層拡大に取り組んでいます。金融機関の低金利競争は、銀行やクレジットカード会社などが提供する個人向けのカードローンにも広がってきました。
昨年10月に三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行が最低金利を年4%台に引き下げたのに続き、オリックス・クレジットは、16日の新規申し込み分から最高限度額を700万円から800万円に引き上げ、最低金利を4.8%から3.5%に下げています。三井住友銀や住信SBIネット銀行が自社の住宅ローン利用者など向けの優遇措置として3%台の最低金利を打ち出しましたが、無条件の金利としてはオリックス・クレジットの3.5%が業界最低水準となります。
また、オリックス銀行も今年3月からカードローン事業に参入する方針を示しています。ネット専業の大和ネクスト銀行も4月から募集を開始するとのこと。市場が縮小するなか、優良顧客の争奪戦過熱の気配です。

貸金業法再改正の動き/今春にも見直し法案提出
貸金業法改正は元々、健全な貸金市場を創るための法律であるにもかかわらず、総量規制や過払金返還請求などの改正を加えたことにより市場の混乱、縮小を引き起こしました。この問題を踏まえ、「健全な借り手と健全な貸し手による適正な規模の小口金融市場の実現」と「新の返済困難者の救済」を目指すとして、再改正の動きもあります。この春にも見直し法案提出が見込まれていますが、貸金業者の存在意義を唱えたところで「サラ金の回し者」と揶揄されるなどして、なかなかまともな議論にたどり着けないという話も耳にします。利用者の視点に立ち、金融を真剣に考えられる政治家に、再改正をリードしてもらいたいものです。

[2012.1.19]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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