整理回収機構:日本振興銀行貸出債権の75%相当 3,265億円を買取り
受け皿はイオン銀行:正常債権10%、453億円買取り
金融機関の預金者保護や、破綻した金融機関の資金援助・管理などを行う預金保険機構は12月6日、昨年9月に経営破綻した日本振興銀行の貸出債権の譲渡状況を発表しました。同行は今年4月、一部の事業を第二日本承継銀行(*)に譲渡。その後、受け皿となる支援企業にイオン銀行が内定し、年内には正常債権を中心に約10%分、453億円を取得します。一方、約75%分にあたる債権3,265億円は、債権の回収・管理を行う公的サービサー、RCC(The Resolution and Collection Corporation:整理回収機構)が買取り、回収に当たります。
(*)日本第二承継銀行:日本承継銀行に代わるセーフティネットとして、金融機関の処理を円滑に進めるため、預金保険法第92条に基づき、預金保険機構により株式会社第二日本承継銀行が代わって設立。対面窓口を持たず、入出金業務は提携先・出資元銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどの現金自動預け払い機(ATM)やインターネットバンキングを利用している。また、維持経費のかかる預金通帳は発行されず、インターネットバンキングで明細を表示するほか、利用明細書を別途郵送することで代替している場合が多い。こうした手法によって運営コストを低くすることで、従来型の銀行に比べて、各種手数料の安さや預金金利の高さなどに優位性をもたせるなどの特徴を持つ。(Wikipediaより)
日本振興銀行:ノンバンク譲り受け債権もRCCへ譲渡
RCCは、住宅金融債権機構と整理回収銀行が合併し、平成11年に預金保険機構100%出資の子会社として発足。旧住専7社から譲渡された債権の回収や、破綻した金融機関からの債権の買取り、回収などを行っています。平成13年以降は、政府指針により再生の可能性のある企業に対してきめ細かく対応、企業再生を図ることで回収業務を行なっています。
日本振興銀行では、ノンバンクから譲り受けた債権を含め複数回に分けてRCCに譲渡していますが、このほか入札を実施し、債権の一部を売却するとしています。
無担保で融資のはずが・・SFCGの多額債権買取りが破綻の一因
かつては「中小企業の救世主」とまで讃えられた日本振興銀行。平成21年6月には、金融庁の立入検査前に業務メールを削除し、同行の木村元会長は起訴。今年12月6日の第7回公判では、検査妨害の一因となった商工ローン最大手のSFCGからの多額の債権買取りについて「SFCGが貸しはがしをして中小企業を倒産に追い込むのは将来のためにならない」と強調しました。そのSFCGも平成21年3月に3,380億円の負債を抱え経営破綻。破綻直前の決算では、大島元会長が粉飾決算、ファミリー企業への違法配当の疑いで告発されました。
預金保険機構:債権者弁済率27から39%へ引き上げ
預金保険機構は11月15日に、日本振興銀行の債権者に対する1回目の弁済率を、当初27%としていましたが39%に引上げると発表。同機構が想定していたよりも日本振興銀行が返済すべき債務額が減ったとして、今年度中にも弁済を開始する見通しとしています。
日本振興銀行破綻から1年が過ぎ、支援企業にイオン銀行が決まり、債権の譲渡先もRCCに内定。多くの中小企業や金融関係者に影響を与えた破綻の後処理は進みます。
●関連記事:日本振興銀行:破綻は中小零細企業に暗雲[2010.9.29配信]
[2011.12.10]
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