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リスケ申請300万件超え!「被災地倒産減少、日本公庫引当金減少、政府信用保証縮小」で懸念なし?

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リスケ申請:308万7,186件と依然増加傾向120609_1.jpg
金融庁は6月4日、中小企業金融円滑化法に基づくリスケジュール(条件変更)の状況について、今年3月31日までの速報値を発表しました。中小企業などが全国659の金融機関へのリスケジュールを申請をした数は、308万7,186件と依然増加傾向。審査中や取り下げを除いた実行率は97.3%に達しました。

申請数:地銀141万件、信用金庫106万件合計が80.1%
このうち最も申請数が多かった金融機関は、地方銀行や第二地方銀行、埼玉りそな銀行など107行の地域銀行で141万2,272件と全体の45.7%を占め、159の信用金庫の106万822件が続きます。地域銀行と信用金庫併せて80.1%を占めました。金融庁では、現時点での速報値として今後の精査により変動しうるとしています。

商工リサーチ:被災地「倒産急増の可能性は低い」との見解?
中小企業金融円滑化法により企業の倒産は全国的にも抑制され、東北の被災地でも減少傾向にあります。東京商工リサーチが6月5日発表した東北6県の「5月の企業倒産件数」は、前年同月比32.6%減の29件。5月としては同社が調査開始以来、最少となりました。震災の復興需要による業績回復やリスケジュール効果が要因となり、業種別では建設業が同比66.7%減の5件と大幅に減少しました。
福島、宮城、岩手3県を中心に復興需要の本格化で、今後も建設業が牽引役となって関連産業に波及効果が期待されます。焼香リサーチでは、「倒産急増の可能性は低い」と見ています。

日本公庫:倒産準備金取り崩し赤字7割減少
一方、政府系金融機関の日本政策金融公庫が6月5日に発表した今年3月期の決算では、最終赤字が前年3月期の8,865億円から約67%減の2,954億円に減少しました。前年では、中小企業の倒産増に備えた信用保険の準備金を約3,700億円積み立てましたが、今期は逆に約830億円を取り崩し戻し入れ益が生じています。企業の倒産減少やリスケジュールなどの効果で、貸出金に対する引当金が減少したことも赤字減少の要因としています。
同公庫が5月に発表した「中小企業景況調査」では、中小企業の「5月の売上DI」や「売上見通しDI」はともに低下しているだけに中小企業の業績回復とは言えないようです。

中小向け融資、信用保証協会100%保証:全業種から一部業種の経営難企業へ縮小?
中小企業庁では、信用保証協会による中小企業向けの保証を縮小する検討に入り、早ければ今年度下半期に見直すとしています。リーマン・ショック後の資金繰り安定に同庁は、100%保証を全業種に拡大。昨年度末に見直しが検討されましたが震災発生で延長されてきました。
中小企業向け融資の100%保証は、景気低迷を原因とした倒産回避の効果が高い一方、モラルハザードにつながる懸念が出ていました。中小企業の資金繰りが最悪の状況を脱したと判断したようです。80%保証する一般保証や一部業種の100%保証は残す方針です。
企業倒産は減少傾向で金融支援の縮小が検討されるなか、中小企業はリスケジュール、家庭では生活保護申請数が増加しているのも現実です。

[2012.6.9]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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