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金融緩和による企業の円安倒産2.7倍に増加!「運輸・通信業」が増加、「建設業」「小売業」の倒産が前年から急増

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食品関連産業:円安による値上げラッシュ
帝国バンクは1月7日、昨年の円安関連倒産が前年から2.7倍の345件に上ったことを発表。負債総額も約3倍の1,633億円に上りました。今年もさらに円安が進むとの見方があるなか、食品関連産業などの値上げがすでに始まっています。一部の大企業では価格転嫁ができるものの、中小・零細企業にとって円安による一段の収益悪化が懸念されます。
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昨年12月の円安関連倒産は、前年同月比120%増の44件となり、9月から4ケ月連続して月間最多を更新しており、増加傾向にあります。

サブプライムの円高では輸出産業が倒産へ
急激な円安は大企業、中小企業問わず企業の業績に大きく影響を及ぼしますが,為替の変動はサブプライム問題が表面化した平成19年を境に円高が進行し、約4年かけ1ドル49円も円高に振れました。当時は、輸出関連企業を中心に円高関連倒産が増加したほか、為替デリバブ取引の運用失敗による倒産も続発し社会問題にもなりました。
当時の円高関連倒産の発生状況に比べ、今回の円安関連倒産は345件と約4倍に急増。輸出に比べ輸入企業のすそ野は広く,中小・零細企業を中心に関連倒産が相次いでいます。

建設、小売業、前年から倒産大幅増加
昨年1年間の円安関連倒産の業種別をみると,「運輸・通信業」が96件と最も多く、「卸売業」の80件、「製造業」の66件,「建設業」の45件の順で続きます。前年比の増減率では、「建設業」が前年比800%増、「小売業」が同550%と2業種の増加が突出しています。
業種細分類別にみると、平成25年以降の累計では「運輸業」が166件と最も多く「食料品・飼料・飲料製造業」と「繊維・衣服・繊維製品卸売業」が各々35件と続きます。件数の上位の業種では、「運輸業」を筆頭に「食料品」「建設」「繊維・アパレル」「農林水産関連」での倒産発生が目立ちます。

金融緩和で円安基調:価格転嫁で消費は萎縮、消費税増税も追い討ち
日銀による追加金融緩和により円安の影響は本格化し、コスト増が業績に大きく影響する中小・零細企業は円安の恩恵が行き届く前に事業存続の正念場を迎えようとしています。昨年4月の消費税率引上げに加え、円安により各種商品やサービスで値上げが発表されるなか、価格転嫁に踏み切る企業にとって消費者の購入心理の萎縮が懸念されます。
ガソリンや軽油価格の下落など家計にとってプラス面も見られるものの、相次ぐ値上げの動きが景気浮揚の鍵となる個人消費に負担がかかるのは避けられません。円安関連倒産が増加基調にあるなか、これまで減少を続ける全体の倒産件数も増加に転じる可能性も出てきました。

[2015.1.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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