都市未来総合研究所:平成27(2015)年度不動産取引額:23%減の4兆896億円/様子見と分析
平成26(2014)年には、海外企業が購入に1兆円近く(前年の3倍、過去最高)を投じ、景気浮上の象徴とされた日本の「不動産投資」。
ここにきて、不動産取引にも"一服感"が出てきました。平成27(2015)年度の取引額は前年度比で、23%減の4兆896億円。4年ぶりに減少しています。
不動産投資信託(REIT※)の公表値から集計
都市未来総合研究所(みずほFGの不動産専門シンクタンク)が、上場企業やしました。15年度は取引額だけでなく、取引件数も19%減って1014件。同研究所は、背景を「海外ファンドや外国人個人投資家の様子見」と分析します。
賃料が据え置きのまま
都心の商業地など一等地の地価は依然、高値圏ですが、不動産実需が反映する「賃料」はリーマン・ショック前の水準には戻らないままです。
景気動向が見通せないため、むやみに拡張や出店もできないのが現状です。
関心があるからこその「様子見」
投資は、将来性への期待感、いわば"気分"に左右されます。国内景気の「先行き不透明感」は、投資額に直結します。
賃料を不動産価格で割った「利回り」が、東京都心の大型優良物件でも3%程度にとどまり、5%前後を見込んだ海外投資ファンドの期待にそぐわなかった点も不安要素。
不動産業界は販売に強気で、供給に過剰感が出ていることもありそうです。
マイナス金利で、不動産購入資金調達が有利に
とはいえ、海外ファンドなどが日本への関心を失っているわけではありません。日銀のマイナス金利導入などで、不動産購入の資金調達コストは下がっており、有利な面もあるからです。常に有利な運用先を見いだすのが彼らの習性であり、まさに「様子見」と呼ぶべき状況でしょう。
[2016.5.4]
J-REIT:投資家から集めた資金で、不動産を購入し賃貸収入や売買益を分配する仕組み。
「Real Estate Investment Trust」の略、日本では「J-REIT」
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